クラブユース選手権大会準々決勝 vs 横浜Fマリノスユース @Adidas Pitch

劇的なグループ突破から一夜明け、大会参加チームは24から8へと絞られて決勝トーナメントが始まる。準々決勝をJヴィレッジで実施したのちに、準々決勝と決勝はニッパツ三ツ沢球技場に舞台を移して実施される。昨年は柏レイソル相手に1-2と惜敗して僅かに届かなかった三ツ沢の舞台。今年こそ、何としてもJヴィレッジを抜けて横浜の舞台へと繋げたい。

対戦相手は広島・名古屋と強豪ひしめくグループAを3連勝で突破した横浜Fマリノス。一昨年はグループ初戦で1-2の激闘を演じ、昨年もやはりグループ初戦で対戦し、2-0の完勝でリベンジを達成。3年連続の対戦は、三ツ沢進出を賭けた大一番となった。


 GK: 一森[CAP]
 DF: 道上、杉本、夛田、小池
 MF: 藤山(→高橋→風間)、宮田、細見、野口
 FW: 坂口(→宮園→成田)、永井


この日は試合前から断続的に雨が降り続き、これまでの真夏日とは一変。最終日にやっとJヴィレッジらしい涼しい気候が訪れた。観戦する親御さんにとって雨は大変だったかもしれないが、連戦で疲労の溜まった選手達にとってはやりやすいコンディションだったのではないだろうか。

タカがグループリーグのイエロー2枚によりサスペンド、ゲームキャプテンを純が務める。CBにはヴェルディ戦に続けて凌輔が入り、豪が2トップの一角としてスタメンに復帰。両ワイドは日ごとにメンバーを代えていっており、この試合は野口と宗徳の2人がスタメンとなった。

立ち上がりからハイボールへの反応やセカンドボールへの出足が良く、五分の展開で試合は進む。昨日は、ヴェルディの高いスキルによる突破からサイドでの対応に苦慮したが、この日は安定していた。相手の右SBの3番を捕まえるのに苦労する場面もあったが、野口や宗徳が周りとの連携の中で身体を張って対応していく。

また、CBとボランチも、Jヴィレッジに入ってからベストといえるパフォーマンス。健勇はロングボールへの対応で相手を圧倒。凌輔も高い対人能力で1vs1の局面をシャットアウトするだけでなく、的確なカバーリングもあって決定的な場面を許さない。そして特筆すべきは細見と大輔。これまでは乗り切れていない感もあった細見だが、この日はボールサイドへの寄せが速く、攻撃時の展開にも良いカタチで絡んでいく。大輔もヴェルディ戦の好調を維持し、両ボランチが中盤を締めることで相手に流れを渡さない。関西プリンスでは、プレースタイルの似た2人だっただけにピッチ上での役割分担が曖昧になることもあった。しかし、2人ともプレーの幅を広げたこともあって、非常にバランスの良いセットになったと思う。

そして豪がトップに入り、龍と2人で前線から果敢なチェイシングを継続。終了間際にはマリノスの圧力に押し込まれる危険な時間帯があったものの、トータルではFWのハードワークを基点としたチームとしてのディフェンスが機能。カウンターで相手ゴールを伺うセレッソのスタイルがうまく表現できた前半だった。

一方で、ベンチワークはこれまでと同様に交替枠をフルに活用して積極的に動く。前半36分には宗徳に代えてナオを投入し、後半開始からは豪と代わってゾノを投入。バランスを意識しながらも攻撃へのウェイトを次第に高めていく。ゾノはフィニッシュへの意識が高く、相手にとって怖い存在になっていると思うので、あとは結果だけがほしいところ。ナオは左サイドで基点となりながら、逆サイドからのアタックに反応してファーのスペースを果敢に狙う。後半17分に交替となってしまったものの、Jヴィレッジに入ってから少しずつ、しかし確実にプレー内容は良くなってきている。次の試合でも出場機会は絶対に回ってくると思うので、自分の良さをピッチ上で出し切ってほしい。

3枚目のカードはヴェルディ戦の勝利の立役者、風間ワグネルケンジ。昨日のプレーが自信となったのか、この日はポストや前を向いたプレーで持ち味を発揮して、積極果敢に仕掛けていく。スタミナ面で終盤は苦しそうだったが、最後まで頑張って走りきった。

選手交替で攻撃姿勢を高めながらも一進一退の攻防が続き、試合は終盤へと入っていく。そして後半40分、セレッソは決勝点を目指したベンチワークで勝負に出る。途中出場のゾノを下げてCBの成田を投入。健勇をトップに上げて、U-17代表エースストライカーの一発に望みを賭ける。

しかし、健勇とケンジの2トップとなり前線でボールが収まるようになる反面、ディフェンスでは前線の運動量が少なくなってしまった。これによってマリノスは最終ラインからビルドアップできるようになり、後半終了まではベンチの意図とは逆に危険な場面が続いてしまう。ラストプレーで右サイドを突破されてしまい、放たれたシュートが辛うじてバーに弾かれたところでホイッスルが鳴り、後半終了となった。

試合は大会規定により前後半10分ハーフの延長戦に突入。延長以降は、互いにカウンターで相手のディフェンスラインを刺し合う一進一退の攻防。延長前半、セレッソはFKからの健勇ヘッドや細見と野口のミドルでゴールを狙うものの枠を捉えきることができない。特に細見は、この試合で両チームでも最も多い5本のシュートを放った。後半30分を過ぎた頃から積極的にバイタルエリアに顔を出して、フィニッシュに絡むようになっていた。タカ不在のフィールドプレーヤーの中で最後までチームを盛り上げるだけでなく、ゴールへの執念をみせるプレーに、チームを引っ張る三年生としての責任感が感じられた。

PK戦も脳裏に浮かび始めた延長後半。最終ラインからのロングフィードを左の2列目に移っていた龍がコーナーフラッグギリギリのところで追いつく。相手DFの寄せを反転して交わすとエンドライン際をドリブルで進入し、角度のないところから逆サイドネットめがけてループシュートを放つ。相手GKに微かに触られて枠を逸れたが、ここで得た2連続CKからの波状攻撃で相手ゴールへと押し込む。しかし、最後のところで弾き返されてしまい、決勝ゴールを奪うことができない。

そして残り時間もわずかとなった延長後半7分。ロングフィードを龍が左サイドで収めて再びセンターに返すと、ボールを受けた細見は逆サイドの野口へと展開。野口は体力的にかなりキツそうだったが、チカラを振り絞って縦へと突破すると、ライナー性のアーリークロスをペナエリア中央に送り込む。ここに、絶妙のタイミングで飛び込んできた健勇がジャンプしながら右足インサイドでダイレクトボレーを完璧に合わせる。相手GKは一歩も動けず、マリノスゴールに吸い込まれたボールはそのままゴール右奥のポールを叩き、喜びに溢れかえるセレッソの選手達の横で、転々とゴールエリアまで戻って転がっていた。

FW起用の期待に応える健勇の劇的なゴールで遂に勝ち越しに成功。健勇がベンチメンバーのもとへと走り、そして次々に選手が折り重なっていく。そして最後はマリノスの猛攻に押し込まれながらも、集中を切らさずギリギリのところで跳ね返し続けた。特に、試合を通して隼人と佑平の両SBは最後まで集中が途切れず素晴らしかった。右SBに入った隼人は、攻撃面では相手選手を裏街道でブチ抜く場面もあったが、それ以外は相手MFとのマッチアップでディフェンスに奔走。逆を取られてもスピードで追いつき、粘り強い守備でゼロ封に貢献した。左SBの佑平も、持ち前のハードワークと駆け引きでの上手さで、相手MFに決定的な場面を許さなかった。また、終盤からCBに入った成田も、臆することなく安定したプレーでマリノスの猛攻を跳ね返し続けた。これまでの頑張りと関西プリンスで培った経験があってこその、安定したプレーだったと思う。

そして110分の熱戦にタイムアップの笛が吹かれる。激闘を制して、昨年は叶わなかった三ツ沢への切符を手にすることに成功した。

ヴェルディ戦ほど個人のスキルに翻弄されることはなかったものの、1点勝負のジリジリした非常に苦しい試合だった。勝敗を分けたのは完全にメンタルの部分だと思う。特に、アウトオブプレーや不服な判定のあとでも、次のプレーへと切り換えて集中を切らさないという点では、確実にセレッソの方が優れていた。また、勝負強さという点においても、昨年のJユースでチーム一体となって勝ち上がっていった経験が本当にプラスになっていると感じられた。昨年の卒業生とともに積んだ経験が、三年生を中心として選手達に浸透しているのは本当に嬉しい。

個人的に、これまでは毎年メインスタンドから傍観するだけだったクラブユース選手権の準決勝。今年はゴール裏に立ち、一緒に勝利を目指して戦うことができる。ここまで連れてきてくれた選手達に感謝するとともに、ここまで来たからには昨年の冬に果たせなかった、副島さんとともに残した宿題をやり遂げたい。

準決勝の対戦相手は京都サンガF.C.U-18。近年ではあまり負けていない相手ではあるものの、昨年も一昨年も関西プリンスは1点差のギリギリの試合だった。そして二日目の新潟戦でチームとしても選手個々としても覚醒してしまった京都U-18は、これまでのイメージは一切忘れて、全く別のチームと思って戦わなければいけない相手。じっくり心と身体を休めて、金曜日にはベストコンディションで挑もう。三ツ沢の舞台でセレッソのサッカーを出し切って、日曜日へと繋げていこう。

頑張れ!セレッソ大阪U-18!!