関東大学サッカー1部 中央大学 vs 駒澤大学 @西が丘サッカー場

関東在住ながら、なかなか観戦に行けなかった関東大学サッカー。最近はあまり遠出もできない状況ということもありますが、今年中に少なくとも1回は行きたいと思っていた中央大学の試合を観に西が丘まで行ってきました。

第1試合の筑波大学vs慶應義塾大学の後半15分頃に西が丘に到着。筑波が2-1とリードしていたものの、以降はビハインドの慶應が筑波陣内へ押し込み続ける展開が続いた。慶應は積極的な縦へのアクションと、これに連動した近距離のサポートをから決定的な場面を作り続けたものの、最後のところで筑波のゴールを割ることができない。終盤には筑波がカウンターから瀬沼や赤崎が決定的な場面を作る場面もあり、2-1のままクローズして試合終了。広島ユースの不老が右SBをやっていたり、途中交代でFC東京U-18の山浦や磐田ユースの上村など対戦相手としても懐かしい選手が入ってくるなど、予想外に見どころの多い試合だった。

そして第2試合、お目当ての細見諒は残念ながらベンチ外だったが、元気そうな姿を見ることができたのは良かった。湘南内定にして強化指定として既にJ1でもプレーした永木とU-19代表キャプテンの六平、更には横浜FC内定の佐藤など中盤に多くのタレントを擁する中央大学。この中での競争は厳しいものだろうし、このチームで1年にして既にスタメンで2試合出場しているという事実は普通に凄いと思う。

その中央大学もインカレ出場枠の4位以内を巡って勝ち点が伸ばせず、ここ数試合は厳しい戦いが続いている様子。現在2位の駒澤大学とのこの日の一戦は、インカレ圏へ食らいつくためにも勝ち点3が欲しい大事な一戦。

双方のチームにとって重要な一戦だったが、立ち上がりはフッと抜けたような場面が続く。中央大学駒澤大学FWの棗へのロングフィードを起点としたカウンターから決定的な場面を演出するが、何度もフィニッシュの精度を欠いて難を逃れる。すると、駒澤陣内左サイド奥のスローインを受けた皆川がクロスを上げると、最後は佐藤がヘッドで押し込み中央大学が先制。

その後は縦へ速い駒澤、永木と六平を中心に平面でボールを動かしていく中央という図式で試合は続いたが、前半終了間際に磯部のゴールで2-0として前半終了。内容的にはやや駒澤だっただけに、2点のリードは中央にとっては最善の結果といえるだろう。

しかし後半の立ち上がりに失点して2-1となると、前半とは変わって攻守に締まった展開が続く。すると後半33分、DFラインからのフィードに抜け出した皆川が突破すると、最後は相手DF2人を引きつけて左サイドをオーバーした林にラストパス。これを林がきっちり決めて3-1とし、試合をほぼ決定づけた。

...と思ったのだが、直後のプレーであっさりと失点し3-2となると、終盤はジリジリした展開に。しかし、最後は中央大学がしっかり試合をクローズして勝ち点3の奪取に成功。インカレ出場に繋ぐ貴重な1勝となった。

中央大学は永木と六平がビルドアップするだけでなくフィニッシュにも積極的に絡んできて、中盤はボックスというよりは4枚がフラットに並ぶイメージに近い。一方で、ホソのように彼らとはタイプが異なり、ボールホルダーやセカンドボールにしっかり食いつける選手は、今後上位陣との対戦が続いていく中で、チームにとって必ず必要になってくると思う。リーグ戦の残り試合、そしてインカレでチャンスを掴めるように頑張って、良い準備をしてほしいと思います。

頑張れ!細見諒!!


vs 浦和レッズ @埼玉スタジアム2○○2

体調は戻りつつあるものの、喉の調子だけおかしいと思いながら浦和美園へ。以前、喉の状態が悪いことも構わず全力で声を出したら耳鼻咽喉科の先生に怒られてしまうほど悪化させてしまったことがあったので*1、ゴール裏にいながらもコール時の声量をセーブしながらの観戦。それでも後半には悪化してしまっている感があったので、肝心の試合終盤にはほとんど手拍子&かまいたちだけの状態になってしまいました。レッズゴール裏の声量を聞くにつけ、こんな状態の自分が情けなくなったというか...

試合結果は御存じの通り。先制点を与えたてしまったことが全てだったように思う。あの場面では、ファウルを取ってくれる審判の方が多いのかもしれない。しかし、アウェイゲームということを考えると、最終ラインでの中途半端な繋ぎによらず、はっきりとプレーしていれば防げた失点。立ち上がりは良いと感じられただけに、正直勿体ないと思わさせる場面だった。

また、この試合では審判が悪い意味で目立ってしまっていたものの、先週の高円宮杯の準決勝からすれば...と思ってしまった。育成年代とかアマチュアの試合の方が理不尽な場面はよっぽど多いので、選手には*2もう少し我慢が効いてほしいと感じてしまった...*3

今のセレッソの攻撃陣はJリーグ全体でも最も魅力的な部類だと思うが、人数をかけて強固な守備ブロックを形成してくる相手を完全に崩しきれるほど、チームとして成熟していないのも事実。少しの運と決定力があれば試合を振り出しに戻すことができたのかもしれないが、「崩す」場面はあったものの、「崩し切る」までには至らなかった。3シャドーは、最終局面では中央へとアプローチが偏るため、相手にとってはディフェンスに人数を割けば意外と守りやすいという面もあるのかもしれない。

一方で、カウンターの局面で中央に偏る3人の外を、マルとマルちゃんが何度か狙っていたのは面白かった。攻撃の幅を広げるという意味で良いプレーだったと思うし、今後もゴールに繋がるまで何度でも狙っていってほしい。マルはCKのたびに大ブーイングに晒されたが、プレー自体には特に動揺や緊張があるわけではなく、良い意味でいつも通りだったと思う。意外と球際にも強いし、ポジティブな性格がメンタルの強さにも反映されているようで何よりw

試合全体としては浦和の堅固なディフェンスに苦戦してはいたものの、後半途中までは同点の可能性を感じさせるプレーが何度かみられた。特にアドリアーノは1トップとして前線でボールを収めるという点でも奮闘しており、突破の豪快さも含めて素晴らしい出来。ただ、サヌのイエローを誘発する豪快な突破の後は疲弊した様子が明らかに見てとれるようになった。カウンターで充分絡めるにも関わらず動けなかった場面を見て90分はもたないだろうと感じたし、途中交代も致し方ないということなのだろう。

3シャドーは、清武が一番良い状態にあったように思えたのだが、その彼が途中交代なのかと...乾はあまり出来の良くない日という感じだったけど、こんな日もあるかな?というくらいのパフォーマンス。一方、家長はちょっと重症かも?と思わされてしまった...夏が凄すぎただけに、周囲の期待レベルが高すぎるだけなのかもしれないが。ただ、前半に右サイドをクライフターン?で抜けた場面は震えるほど素晴らしかったということは、付け加えておきたい。

そして終盤に追加点を与えてしまう。この試合での勝ち点が遠のいていく重い失点であることに違いは無いのだが、この記憶がそうさせるのか、原口のファインゴールはそれ以上に重く感じられるものだった...

終盤、選手交代とともに攻撃の迫力が無くなっていくのは、セレッソの攻撃が即興に近い個々の連携をベースに構築されているため、ある意味で仕方ないという一面もある。しかし、ルイとバン的な人の働きが与えられた状況下では物足りないと感じさせられたのも事実。健勇はまだ早すぎるかもしれないが、この日の彼らのパフォーマンスからすれば、永井龍にはもう一度チャンスが与えられるべきだと思う。

そして0-2で試合終了。最初の失点がなければ...とは思ったが、これだけチームが成熟してきた中で普通に力負けしたのは久しぶりに感じられたので、試合後は悔しさとともに不思議な感覚が残った。何というか、まともに地に足をつけてJ1を戦えているなぁ、という感覚だと言うと可笑しく思われるかもしれないが*4

天皇杯を含む今シーズンの残り試合は、一時的な勢いではなく、地力でどこまで行けるかをひとつひとつ確認していく戦いとなるだろう。この中で、セレッソ大阪というチームの逞しさを示していってほしいと思うし、その結果として望むべきモノを獲得できれば、シーズンの最後を素晴らしい形で迎えられると思う。


[追記]:今日、トップの裏側で行われていたJユース杯は、武瑠、洋亮、拓馬、宗星、たっちゃんと西出身の選手達によるゴールラッシュだったようで。更には大地の2ゴールや舜司のゴール、そして久しぶりの豪の出場も。試合内容については誰にも聞いていないので分かりませんが、試合結果から「観たかったなぁ...」と思わされてしまいました。。

*1:確かこの試合だったと思います。この日の洋亮の2ゴールは凄かった...

*2:願わくば、選手だけでなくファンやサポも...

*3:といっても今日は審判もスペシャルな人だったので、然るべき批判はあってよいと思いますが。

*4:今年の前半はチームが構築途上だったし、J2時代の負け試合では相応の欠点が目につくような内容ばかりだったので...

高円宮杯準決勝 三菱養和SCユース vs FC東京U-18

体調不良のため、遅れて国立に到着したのは第1試合の後半20分頃。移動中に携帯で見た途中経過は0-2で静学リードだったが、現地に着くと広島と静学の双方とも1人ずつ退場者を出しており、そしてスコアは2-2と広島が追いついていた。

状況を確認するために電光掲示板へ改めて目を向けていると逆サイドで歓声が、そして自分のいたホーム側からは大きな悲鳴が上がる。ピッチへと目を戻すと逆転ゴールとともに広島の選手たちが歓喜の輪を作っている。砂川のハットトリックで広島が逆転に成功。対する静学も前掛かりとなって再び同点ゴールを目指し、何度か惜しい場面を作った。しかし、終盤に手薄となった守備陣の虚を突かれ、4-2と突き放されて万事休す。埼玉スタジアムへの最初の切符を掴んだのは、3年前の決勝戦のリベンジを誓う広島ユースとなった。

第2試合は、残る1枚の切符を賭けた東京ダービー。街クラブの雄三菱養和SCユースと、FC東京U-18の一戦。同じ関東のチームでありながら、昨年や今年のクラ選など、全国の舞台でも数多くの対戦がある因縁の対決となった。


三菱養和SCユース (2010高円宮杯準決勝) のフォーメーション

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FC東京U-18 (2010高円宮杯準決勝) のフォーメーション

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養和は怪我明けとなった世代別代表の田鍋を温存。試合の流れの中では2ボランチは内藤が後ろ、川崎が前という明確な役割ができているように見えた。また前線は、夏のJヴィレッジでは若狭の1トップに近藤がトップ下のような位置取りにも見えたが、この日は横の関係に近い2トップとなっていた。

対するFC東京は、武藤の累積に加えて大学受験のため主力の数人が欠場。この中で、倉又監督が本来ボランチの佐々木をFWで起用したことには驚かされた。縦への速い展開が持ち味のチームとはいえ、佐々木の配球がFC東京の攻撃のベースと思っていたので。しかしこの日は、ボランチに入った野沢の的確な配球によって試合はきっちりコントロールされていた。FC東京の選手層の厚さには、ただただ驚かされるばかりで...

立ち上がりこそ養和が積極的に仕掛けるものの、今大会無失点のFC東京のDF陣を崩し切るには至らない。FC東京は養和の縦へのアクション、特に若狭への楔のパスを松藤と小林の両CBが封じる。そして、FC東京の最大の特徴ともいえるハイプレスでペースを握ると、次第に養和陣内で試合が展開される時間が増えていく。

FC東京は2トップへの縦へのアクションから、岩木、岩田の2列目の2人が絡んでワンタッチ、ツータッチの小気味良い展開が続く。養和としては完全に崩されるまでには至らなかったが、この時間帯を凌ぎ切れるか否かがひとつのターニングポイントだったかもしれない。しかし前半22分、FC東京の左からのアーリークロスが跳ね返り、ペナエリア内左で岩木が収める。そして角度の無いところから放ったシュートがGKのニアを抜いて、FC東京が先制点の奪取に成功する。養和としては完全に崩されたわけではなかったが、DFがボールホルダーに詰め切れず、一瞬足を止めた隙を突かれる格好となった。

対する養和も、失点後は攻勢に出て攻撃のリズムを作る場面が出始めた。FWの近藤と右MFの佐藤の連携を中心として、こちらもダイレクトを織り交ぜた小気味よい展開でリズムを作る。特に近藤は持ち前の瞬発力に加えて、状況判断の速さと展開や仕掛けの選択の良さなどセンスを感じさせる選手。ヴェルディの山浦とかもそうだが、個人的にはこういう選手達がもっと評価されて、世代別代表などに呼ばれても良いような気がするのだが...

前半を0-1とFC東京のリードで終了して迎えた後半、養和は田中輝に代えて田鍋を投入。佐藤が左に移動して田鍋は右の2列目に入る。この交代で攻撃時の左右のバランスが改善されつつあった養和だったが、ひとつのプレーで試合は大きく動く。後半15分、ロングフィードに抜け出した東京の選手と養和のSB川田が並走し、ペナエリア内で交錯して2人とも倒れたところに主審のホイッスル。PKスポットを指しながらファール地点に駆け寄り、躊躇なく提示されたイエローは川田にとってこの日2枚目。FC東京にとっては貴重なPK獲得、対する養和にとっては退場で1人少なくなるという厳しい状況に追い込まれた。

このプレー以前においても、この日は養和の選手が遅れ気味に対応してファールという場面が散見されたのは事実。それでも、いち観戦者としてはこの判定でせっかくの好ゲームが壊れてしまうと思うと、主審はもうちょっとコントロールできなかったかな...と残念に感じてしまった*1。このPKを秋岡がきっちりと決めて0-2とすると、2分後の後半17分にこの日はFWで出場した佐々木がペナエリア左から放ったコントロールショットが逆サイドのネットを揺らして0-3となり、一気に養和を引き離す。

それでも気持ちの切れなかった養和は、直後のプレーで近藤が中央から右へとFC東京DFラインを突破してペナエリアに侵入。後ろから引っ掛けられてPKを獲得すると、これを自らが決めて1点を返す。センターサークルへ走ってボールをセットしてスタンドを両手で呷ると、スタジアムは再びヒートアップ。1人多いFC東京のカウンターに晒されながらも、ゴールを目指して前へと圧力をかけ続けていく養和という時間帯が続く。

しかし、近藤のミドルや若狭のヘッドなど惜しい場面が何度かあったものの、最後はFC東京が危なげなく試合をクローズ。今大会での初失点を喫したものの、1-3で養和を下してFC東京埼玉スタジアムへの切符を手にした(公式記録はこちら)。

10月11日の決勝戦サンフレッチェ広島ユース vs FC東京U-18。今年のクラ選、グループリーグ最終節の前に、広島の森山監督が「F東を引きずり下ろす」と宣言し、大会の名勝負とも言われた一戦の再戦となった*2。昨年、一昨年のファイナルは一方的なスコアとなってしまったが、今年は現行方式では最後となる高円宮杯の締めくくりにふさわしい、歴史に残る好ゲームが繰り広げられることを期待したい。

*1:ちなみにこの日の主審は、養和にとって昨年の準決勝と同じ主審だった。相性とかもあるだろうし、協会の配慮があっても良かったのでは...

*2:個人的には京都vs養和に行っていたので、観ていないんですけどね...

U-18高円宮杯(9/18, 9/20)

札幌ラウンドを終えて1分1敗の勝ち点1で迎えたグループCの最終戦。勝利でグループ突破、引き分け以下で敗退という分かりやすい状況でキックオフとなった愛媛FC戦は、最終スコアの印象とは異なる厳しいゲームとなった。

開始4分にCKの跳ね返りを収めた雅斗が、ペナエリア左外から強烈ミドル。愛媛GKがこぼしたところに舜司が詰めて先制点の奪取に成功する。しかし、直後の9分に左サイドへの大きな展開から、折り返しをファーでフリーで合わせられ同点とされてしまう。ボールサイドにディフェンスが偏りがちな傾向はこれまでも散見されたが、それが失点として浮き彫りになってしまった。

その後は最終ラインからのビルドアップを試みるものの、アタッキングサード付近で手詰まりとなり愛媛のカウンターに晒される展開が続く。小気味良いショートパスのビルドアップに、金村と近藤の強力な2トップが絡んで緊迫した場面を作り出す。愛媛FCとはJユースや高円宮杯で3年連続で対戦している中で、中3の頃からU-18の舞台で圧倒的な存在感を見せつけてきた近藤寛太が、この日もセレッソのディフェンスラインを脅かす。小気味良いドリブル突破に状況判断の良さも加わって、ピッチ上でもっとも存在感を放った。これからどこまで伸びるかは分からないが、未来の香川真司にもなり得る愛媛FCの至宝だと思う。大事に育ててあげてください。

対するセレッソは、パスワークの微妙なズレが攻守のリズムに影響すると、サポート・フォローの動きやチェイシングからも少しずつ躍動感が失われていく。前半は、今年観た中ではもっとも厳しいと感じられてしまうパフォーマンスに終始。グループ突破への緊張感か札幌遠征が2週連続で続いた疲労のためかは定かではないが、選手達の焦燥感がスタンドにも伝わってくるような内容だった*1

グループ突破に向けた勝ち越し点がどうしても必要な後半、思わぬ形で試合が動く。愛媛FCの金村が2枚目のイエローで退場となって、愛媛は前線のターゲットを失う。その後はセレッソがポゼッションの割合を上げて愛媛陣内へと攻め込むものの、フィニッシュまで崩しきれないもどかしい展開が続く。逆に、愛媛1トップの近藤寛太にカウンターから危険な場面を作られる展開もあった。しかし、選手交代によって近藤が2列目に下がると危険なシーンは少なくなり、セレッソが1点取れるかドローで終わるかという展開に。

そして試合が動いたのは後半35分。雅斗との交代で右SBに入った潤弥の右クロスに逆サイドの小暮が反応。左足インサイドで流し込もうとしたボールを、勢いの止まらなかった愛媛DFが触って遂に勝ち越しに成功。場内アナウンスは愛媛のオウンゴールだったが、公式記録では小暮のゴール。これで肩の荷が下りたのか、終盤に来て躍動感の生まれたセレッソ愛媛FCを圧倒し始める。

後半38分には潤弥が鋭い出足から最終ラインのビルドアップをインターセプト。パスを受けた拓実がペナエリア外から豪快なミドルを叩き込むと、直後の後半40分には野口のクロスを愛媛GKがこぼしたところに大地が詰めて4-1。最後は拓実の突破からファーで待ち受けた小暮が丁寧に流し込んで5-1として試合終了。終盤までの苦しい展開からはかけ離れた結果でグループリーグ突破を決めた。

恐らく数年前であれば自分たちも無邪気に勝利を喜び合っていたと思うが、この日は喜びながらもちょっと苦言?が出たかな。ただそれも、もっと成長してほしいからだし、U-18で終わりではなくトップでも1人でも多くの選手の活躍を観たいと思うからだということを分かってもらえると嬉しい。過去よりも高い要求は、全てそれ相応の期待があるからなのでね...

愛媛戦の勝利によって、勝ち点4の得失点差+3を獲得。グループCを3位で、そして3位集団の1位となったセレッソは、ラウンド16を西が丘で、そして対戦相手は一発勝負の相手としては最も難敵といえる広島ユースとなった。


西が丘での広島戦は、奇しくも2年前の浦和戦を思い起こさせるような試合となってしまった。ただ、この試合は愛媛FC戦とは逆で、最終スコアの印象とは異なり試合の入りは良かった。守備ブロックを形成する広島相手にポゼッションを高めると、フィニッシュに至る回数は数えるほどだったものの、攻撃時のバランスや選手間の距離感は悪くないように感じられた。

しかし、ワンプレーから広島に先制を許してしまったことで、試合は期待とは異なる方向に動き始めてしまう。左サイドをドリブルで縦に突破されてクロスを上げられると、ファーに飛び込んだ選手がフリーとなりゴールを許してしまう。この広島の先制点は崩されたという印象はなく、左の突破に対してあと半歩厳しく入っていれば、もしくは愛媛戦の反省からファーが多少なりともケアできていれば、危なげなく防げた失点だったのかもしれない。しかし、重要な試合となればなるほど、ディテールによって試合は動く。決して望んだわけではないが、土曜のトップチームと同じ経験をしてしまったかのような展開に。

そして前掛かりとなったセレッソに対して、更なる試練が襲う。セレッソのCKの跳ね返りを広島に収められると、カウンターからライン裏を一発で奪われ、鶴ちゃんとの1対1から冷静にゴールへと流し込まれてしまう。前半25分で0-2となったものの、トーナメントということを考えると、残り時間でとりあえず追いつけば良い。勝ち点3が必須という状況にあるリーグ戦に較べれば、慌てる要素は少ない。前半で1点返すことができれば、気分的にはドローに近い感覚で後半を迎えられると考えていたのだが、試合は更に厳しいものに。

前半終了間際、セレッソのCKの跳ね返りを収めてカウンターに入ろうとする広島の選手に対して、慶太のスライディングが後方から入る。駆け寄る主審が迷わず提示したイエローは、慶太にとってこの日2枚目。痛恨の退場となってしまう。2点ビハインドで1人少ない状況。こんな形でトップと同じ状況を経験したくは無かった...

それでも勝ち上がりだけを考えるトーナメントでは、前へ前へと積極的に行くしかない状況。1人少ない状況で前線からプレッシャーをかけ続けるセレッソ大阪U-18。2人で中盤を担った凌輔と大地は、機を観て積極的に前線へもプレッシャーを仕掛けに行く。その分空いたスペースを広島に有効活用されながらも耐え続けたが、後半10分に3点目、後半16分に決定的となる4点目を奪われると、後半23分、31分と立て続けに失点を許して6-0と大きく水をあけられてしまう。

しかし、セレッソの選手達が戦意を失ったわけではなかった。失点を重ねながらも下を向かず、ただひたすらにゴールを目指し続けた後半の45分。この試合唯一のゴールは広島DF陣のパスミスから。しかし、セレッソ攻撃陣の諦めないチェイシングが生んだゴールだった。広島のパスミスの始まりは拓実のGKへのチェイシングから。最終ラインやGKへのチェイシングは、普段から行われているプレーのひとつだろう。しかし、このときの拓実のチェイシングは、ありがちな「何となく追う」体のアリバイプレーではなく、「奪ってやる!」という気概が眼前の自分達にも強烈に感じられるものだった。

ペナエリア内右でパスミスを奪った凌輔はルックアップしてエリア中央外へと流すと、ここに飛び込んできた大地が豪快に叩き込んで意地の1点を返す。一般の観客にとっては大して意味を持たないかもしれないゴール。しかし、セレッソの選手達にとっては、捉えかたひとつでこの1ゴールを大きな意味のあるものにすることができる。この大敗を、そしてこの1点を、Jユースへ、そして個々の選手達の未来へ繋げていってほしい。

今年のチームには、突出したタレントを持つ選手は少ない。タカのような世代屈指の展開力もなければ龍のような生粋の点取り屋もいない。隼人のようなスピードスターはおらず、健勇という稀代のフィジカルモンスターも既にユースを卒業してしまった。

だからといって、今年のチームや選手達が過去のチームやOBより劣っているとは思わない。今年の最終ラインから細かく繋ぐサッカーは、トーナメントや一発勝負という意味では決して有利ではないかもしれない。それでも、しっかり繋いで高い技術と状況判断を養い、更に個人の意思で仕掛けることのできる今年のサッカーは、選手達にとって大きな成長のチャンスとなり得るものだと思う。それだけに、仮に結果が伴わずとも今年のU-18のサッカーは観ている側としても好印象を受けている。Jユースでは、チームとしても個々の選手としても、更に昇華したサッカーをみせてくれることを強く期待しています。

悔しさを真正面から受け止めて、そして乗り越えていけばもっともっと強く、逞しくなれる。ピッチで戦った選手もベンチから見届けた選手も、そして遠征に帯同できなかった選手達でさえも、今大会の経験を糧としてより大きく成長していってくれることを期待しています。

高円宮杯、お疲れさまでした。そしてJユースでも頑張れ!セレッソ大阪U-18の選手達!!

*1:以前OBに聞いた話では、遠征で前日入りだと身体が動かないことが多いらしい。このため、クラ選など夏休みに行われる大会では、前々日に現地に入るとのことだった(今は違うかもしれないが)。学期中に行われる高円宮杯の難しさはこういうところにもあるのだろう。来年から全国リーグが始まって、質の高い練習と試合が積み上げられるはずの土日に、長距離移動によって選手達が疲弊していくことがないかちょっとだけ心配です。

高円宮杯 vs コンサドーレ札幌U-18 @札幌サッカーアミューズメントパーク

グループ突破へ向けての大一番となった、コンサドーレ札幌とのアウェー戦。1勝2敗でも勝ち抜けの可能性は残るが、他のグループを見ると今年は勝ち点が分散傾向にあることから、完全なアウェーの環境下ではあるものの、何としてもドロー以上の結果で終わりたい。


セレッソ大阪U-18 (高円宮杯 vs 札幌U-18) のフォーメーション

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試合に入る前に一言。今回の会場はプリンスリーグなら充分とは思うけど、率直に言って高円宮杯、ましてや有料試合として使って良い会場ではない。遠く北海道まで来て、スタンド設備も充分ではなく会場の外側からも試合が見えてしまうような環境で入場料を取られたと思うと...とこの辺で止めておきますが*1

この日は拓実が代表招集により不在。代わりに小暮が右ウイングに入った以外は、初戦と同じメンバーで臨むセレッソ大阪U-18。立ち上がりこそやや札幌が押し気味に来たが、いったん落ち着くとセレッソがボールを回す展開に。

札幌の2トップは佑平と堀尾の両CBへのプレスは緩い一方で、中盤、特に攻撃の起点となる慶太へのパスに対しては厳しく寄せてくる。ビルドアップでは両SBでボールが詰まる場面も散見されたが、ケンジへの楔とセカンドボールの対応、加えて小暮を中心とした右での連携からチャンスは数多く作れていたと思う。

そして前半15分、小暮の右CKを大地がヘッドで合わせて高く上がったボールを、落下地点のケンジがジャンプして胸トラップでボールを収めると、左足のボレーで札幌ゴールへと叩き込む。往年のアキを思い起こさせるような背番号20の胸トラ&ボレーで待望の先制点を奪ったことにより、これまで内容の良さがなかなか得点に繋がらなかったチームに良い影響が生じてほしい。

その後も好調を維持するケンジが、前線で起点になるとともに、機を見てラインの裏を狙いセレッソへとペースを引き寄せる。凌輔と大地のCHもセカンドボールに絡み、DFでも高さのある札幌の2トップにも堀尾と佑平がしっかりと対応。左SBのノグはサイドの主導権を握って高めのポジションをキープすると、雅斗は的確なカバーリングと早めの潰しによってディフェンス面で貢献。

洋亮はいつもと変わらない攻守に献身的なプレーで前線をかき回し、小暮はドリブルでの仕掛けから右サイドを崩す場面が多く見られた。小暮はこれまでSBや2トップなど様々なポジションで起用されてきているが、このウイングが彼にとって最も適性の高いポジションなのかもしれない。前半はどちらかというとセレッソペースのまま、欲を言えば2点目が欲しかったと思わされる展開で前半を終了した。

後半。札幌は開始からスピードに特徴のある18番をFWに投入。この交代によって、後半の45分は一転して札幌ペースとなる。後半7分にビルドアップのボールを18番にインターセプトされると、そのまま鶴ちゃんとの1対1となり、これをきっちり決められて試合は振り出しへと戻ってしまう。

その後もホームの歓声を味方につけた札幌が前線から次々とプレッシャーを仕掛けてくる。セレッソも21分にケンジに代えて舜司を、28分には洋亮に代えて拓馬を投入。前線の運動量を上げて対抗するものの、次第に中盤でボールが収まらなくなっていくと、ますます札幌の勢いが強まっていき、自陣でボールを失い一気にフィニッシュに持ち込まれるという危険なシーンが続く。しかし、この日は神掛かったプレーを連発した鶴ちゃんが、相手選手との1対1をことごとくストップ。前日のトップの対戦相手、広島の西川のような好セーブ連発で、札幌サポーターの歓声と溜め息の入り混じる展開が続いた。

そして残り5分で大地に代えて、西のエースストライカー将を投入。再びトップに起点を作って決勝点を奪いに行く布陣へとチェンジ。その将も前線で何度かチャンスは作ったものの、残り時間の少ない状況だったこともありシュートまでは至らず。ペナエリア外で横パスを豪快にシュートに持ち込もうとしたシーン、あれがミートしていれば面白かったのだが...

ロスタイムの3分は、再び札幌の攻勢を受ける展開となる。ラストプレーで放たれたミドルシュートが辛うじてゴールバーに弾かれるとともに、試合終了のホイッスル。完全にアウェーな雰囲気の中で辛うじて勝ち点1を奪い、グループ3戦目へと繋げる結果となった。


セレッソ大阪U-18 (高円宮杯 vs 札幌U-18) のフォーメーション

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勝ち点3が欲しかったことに間違いはないが、前後半の内容からすればドローが妥当という展開だった。特に、関西プリンスやクラ選を通じて、これだけ最終ラインが慌てさせられた試合はなかった。ヴェルディマリノスといった関東のチームとの試合でも、アタッキングサードまではそれなりにボールを運べていただけに、後半の展開ははっきり言って予想外。「良いサッカーをしている」と前評判の高い札幌の本領発揮、というところなのだろう。

グループ最終戦は、その札幌をクラ選で1-0で倒している愛媛FCとの一戦。毎年、綺麗にボールを繋ぐユースチームらしいパスサッカーを実践しており、セレッソとしては昨年のJユースで敗戦を喫している相手。愛媛は既にグループ突破は難しい状況にあるものの、セレッソにとって決して与し易い相手ではないだろう。この1週間で良い準備を行い、神奈川の大和で素晴らしいサッカーを展開して、ラウンド16へとチームを導いていってほしい。グループ突破を賭けた大一番で、今季最高のゲームが観られることを期待しています。

頑張れ!セレッソ大阪U-18!!

*1:会場管理の方々は親切丁寧だったので好感が持てたのですが...自分が持っている高円宮杯のイメージと、世間一般の認識がかなり違うのでしょうか?

高円宮杯 vs 東京ヴェルディユース @札幌厚別公園競技場

来年から全国リーグ形式へと移行するため、現行形式での開催は今大会が最後となる高円宮杯全日本ユース(U-18)選手権。グループ初戦は夏の王者にして、天皇杯東京都予選で大学&JFL勢を次々と撃破して一躍脚光を浴びているヴェルディユース。強豪相手も、前日に西が丘で駒澤大ナイトゲームを戦い、この試合を強行軍で臨む相手からしっかりと勝ち点を奪いたい一戦。


セレッソ大阪U-18 (高円宮杯 vs ヴェルディユース) のフォーメーション

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前半は立ち上がりから互角のペース。セレッソは前節の磐田戦での課題を上手く改善し、バランス良く最終ラインからビルドアップして左右のスペースを崩す。ノグと雅斗の両SBのオーバーラップに両ワイドの洋亮と拓実が絡み、センターハーフに位置する凌輔と大地も積極的に前線へのスペースを窺う。ポジションは流動的で左右のポジションチェンジも多く、中盤の底で配給の起点となる慶太も状況によっては積極的に前のスペースを窺う。

ワントップに位置するケンジは裏へのスペースを積極的に狙い、ペナエリア付近ではドリブルでどんどん仕掛けていく。昨年のクラ選の記憶から、思いきって行ける部分もあったのだろう。CBの佑平と堀尾も主導権を取って対応できていた。磐田戦でも書いたが、佑平の状況判断と堀尾のスプリント力が上手く絡み合って良いセットになっている。加えて、堀尾の対人でのフィジカルの強さには改めて驚かされた。

そして前半も半ばになると、コンディションの差が内容に表れたのか、試合は次第にセレッソペースに。しかし、何度かヴェルディ守備陣を崩すもののこじ開けるには至らず、夏の王者相手に善戦というよりはむしろリードで終わりたいと思ってしまう前半の内容だった。

後半も変わらずセレッソの押し込む時間の長い展開だったが、カウンターから相手FWに抜け出されると鶴ちゃんのファインセーブでエンドラインへと逃れる。そして直後のCKで、ファーからゴールエリア中央に飛び込んできたヴェルディDF舘野にヘッドで先制を許してしまう。スキルの高いヴェルディの選手達を相手に仕事らしい仕事をさせていなかっただけに、悔しい失点となってしまった。

失点後は更に前への意識を高めて押し込んだセレッソだったが、時間とともに生じる焦りのためか、それまでの軽快なリズムが次第に失われていく。小暮、拓馬、舜司と前線のアタックに長けた選手たちを次々と投入したものの終盤はロングボール主体の攻撃となり、高さに強さを見せるヴェルディのディフェンス陣を崩せないままタイムアップとなった。


セレッソ大阪U-18 (高円宮杯 vs ヴェルディユース) のフォーメーション

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試合後の選手達のショックにも近い表情からは、勝ち点を奪えた、勝つべき試合だったという思いが伝わってくるようだった。クラ選や先週のJユースを経て、確実にチームは良くなっている。そして、今大会でも上を狙えるような良いサッカーができていると思える試合だった。それだけに、最後のあと少しの部分がもどかしく感じられてしまう。しかし、このサッカーをしている選手たちは着実に積み上げができていると自信を持って良いと思う。そして、今後はビハインドなどの苦しい時間帯でも自分たちのサッカーを自信を持って遂行することが大事になってくるだろう。

今年のU-18は積極的なチャレンジが過去と較べても多く、観ている側もそして恐らくピッチ上の選手達にとっても楽しさの感じられる、個人的にとても良いチームだと感じている。だからこそ選手達やスタッフにとっても結果として残ってほしいと思うし、このサッカーを通じて選手達のレベルがもう一つ二つ上がっていくことを期待してしまう。高円宮杯でのグループ突破の目安は勝ち点4。敗戦スタートになってしまったものの、このノルマを充分達成できるだけのサッカーはできていると思う。次の札幌戦でもこの日のような質の高い試合を行い、そして勝ち点を得て大和へと移動できることを期待しています。

頑張れ!セレッソ大阪U-18!!

キンチョウスタジアムを快適な空間に

我らがコールリーダーのTKくんが、「キンチョウスタジアムをより良くするために」と題して意見を募集しているので是非。

http://ameblo.jp/cerezotoki/entry-10636420767.html

個人的には東京在住、更にユース優先?で動いているということもあって、キンチョウスタジアムには実はまだ一度も行ったことがない...。あくまで想像ですが、ちょっとした不便であれば多分耐えられると思うけど、年パスを持っていないためにゴール裏に入れないことが自分のような人間には辛いかな...

建設的な意見ではないのかなと思いつつも、個人的にはNACK5くらいの規模のゴール裏があれば嬉しいと思うのですが、やっぱり拡張って難しいのかな?