健勇 トップチーム昇格

初めて観たのは健勇が中学2年生の頃だったか。中学生とは思えない体格以上に、中学生離れしたスピードに驚かされた記憶が残っている。更に、これまでの大型選手とは違って足元の技術も高く、曜一朗に続いてまたとんでもない選手が出てきたな、と思わされた。

中学3年のちょうど今くらいの時期に、津守U-15からU-18へと戦いの舞台を移した。左SHが主戦場となったが、90分という試合時間に加えて、攻守に豊富な運動量が必要となるU-18の舞台は、当時の健勇にとって決して容易なものではなかった。同じポジションだった大庭を初めとして、当時の3年生達のサポートを受けながら成長を続けた1年間。

高校1年の秋。広島の吉田で行われたJユースカップ広島戦で、CBへとコンバート。副島監督の奇策とも思われたこの起用は、健勇の新たな可能性を引き出すものだった。高さと速さを活かしたディフェンスで広島の攻撃陣をシャットアウト。この試合の勝利で勢いを得た副島セレッソは、柏やFC東京といった優勝候補を退けてJユースカップ決勝まで一気に駆け上がった。

2年の夏。健勇は全国の主役となった。CBを基本のポジションとして、勝負どころになるとFWへとポジションを上げてゴールを目指す。中谷セレッソのサッカーは、健勇の起用方法によってその結果が大きく左右された。ラウンド8のマリノス戦で決めたゴールは、昨年のU-18の試合で最も心を打つゴールだった。そして健勇が決勝ゴールを投げ込んだFC東京戦、スローモーションのように脳裏に刻まれた光景を忘れることはないだろう。また、秋にはU-17W杯でも躍動。ブラジル戦の同点ゴールに、右手一本で相手DFを押さえ込んでしまう姿に、「やっぱり凄い選手やったんや...」と改めて思い知らされた。

そして今年のプリンスリーグ。全試合ゴールという結果を残すものの、もうひとつ高いレベルでのプレーを期待してしまう部分があった。一方で、このレベルであれば結果は残せて当然という雰囲気が漂い始めていたのも事実。クラ選2連覇に導く健勇を観てみたいという気持ちもあったが、このタイミングでの昇格は本人にとってはベストなタイミングということなのだろう。

これまでは優しい眼差しで観てきたが、これからはプロの選手として、厳しい目で観ていくことになる。トップ昇格はゴールではなくここをスタートとして、セレッソ大阪を10年20年と引っ張っていく選手になってほしい。

昇格おめでとう!
トップチームでもお前のゴールを魅せてくれ!!