プリンスリーグ関東 FC東京U-18 vs 東京ヴェルディユース @FC東京深川グラウンド

セレッソ大阪U-18はクラブユース選手権関西予選を1位で通過し、夏のJヴィレッジへの切符を獲得している*1。一方、関東では来週からプリンスリーグは中断期間に入り、6月はクラ選予選をメインとした日程が続く*2

様々なチームと戦える経験が全国大会の醍醐味、といいながらもヴェルディと2年連続、マリノスとは3年連続と特定チームとの対戦がなぜか固まる傾向にあるクラ選。おそらく今年もまた関東のJクラブと幾つか試合することになるのだろう...ということで近所のFC東京深川グラウンドに東京ダービーを観に行ってきました。


FC東京U-18 (プリンスリーグ関東2010 第9節) のフォーメーション

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東京ヴェルディユース (プリンスリーグ関東2010 第9節) のフォーメーション

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キックオフの15分くらい前に着くと、バックスタンドは既に観客で埋め尽くされており座るスペースは無く、立見での観戦。更に、立地の問題から鳴り物だけではなく応援そのものが禁止という環境。その中でも出来ることをとのFC東京サポーターの想いからか、赤と青の風船を観客に配り、選手入場時に膨らませて選手たちの士気を高めていた。

関西でも万博など鳴り物禁止の場所もあるが、もしプリンスリーグ大阪ダービーで応援禁止と言われたらおそらく納得できないだろう。カードに応じて相応の箱を用意しなければならなくなってきているというのは、関西でも関東でも似たような問題を抱えているということなのだろうか*3

対する東京ヴェルディも、都並さんがベンチ外の選手たちと混じって観戦。久しぶりに元気そうな都並さんを間近で観ることができたのが、この日一番の成果かもしれない(笑)


というわけで試合。

ヴェルディ高木善朗が実質的にトップチームの選手となっているため不在だったが、昨年から公式戦に出場している選手も多く見知った名前が並ぶ。昨年は前目でのプレー機会が多かった小林はボランチでスタメン出場。ボールサイドによく顔を出して守備面でも広い範囲をカバーし、攻撃面でのアイデアやビルドアップでも変わらず能力の高さを示していた。加えて、左のアタッカー杉本もクイックネスと積極的なドリブル突破が武器の好選手。世代別代表の廣木とのマッチアップは見応えがあった。

対するFC東京は大半が初めて見る選手だが、チームコンセプトは変わらず昨年同様にプレッシングをベースとしたサッカーを展開。FC東京で目を引いたのは、左のアタッカー武藤。スピードに加えて独特なリズムを伴うドリブルでサイドからチャンスを演出。ボランチの橋本も、ボール奪取能力が高くセカンドボールを制してチームにリズムをもたらしていく。また、同じくボランチの佐々木も運動量豊富な走る司令塔というイメージで好印象。前半こそボールサイドに寄りすぎたため消えている時間も多かったが、後半の苦しい時間帯に強い存在感を放つあたりはさすがFC東京の10番と感じた。あと、GK三浦はジンヒョン並みのキック力を持ってるな...

試合内容はややFC東京の押し込む時間の方が長かったものの、トータルとしてはほぼ五分の展開で前半は終了。局面での激しさが目立つ、見どころの多い前半だった。ただ、ヴェルディが試合開始から早めに前線へと長めのボールを入れてFC東京のプレッシングを回避する試合運びは、一昨年のピッチ5で観たことがあるような風景だったが...

後半の早い時間帯に、前線からのフィードを受けたFC東京のFWが、相手DFと競り合いながらドリブルでペナエリアへと侵入。エリア手前での微妙な交錯からバランスを崩すと、ホイッスルが鳴りFC東京ボール。そしてエリアの外かと思われたが判定は何とPK。これに似た風景もまた、昨年ピッチ3で観たような気が...

しかしここから先の光景は、これまでに観たことがないものだった。ヴェルディのGKキローラン菜入がコースを完全に読み切って、このPKをストップ。このあたりの対応に、ヴェルディの選手たちも昨年の経験を糧にできているのかと感じてしまった。その後は前半と同様に互角の展開も、試合が少しずつ動き出す。ヴェルディが小林のスルーパスから決定的なシュートを放つと、対するFC東京もサイドを崩した後のシュートがバーを弾くなど、緊迫した場面が続く。

そして終盤、FC東京のFWが2枚目のイエローで退場となり再び試合が動き始める。イエローは2枚とも警告に値するものではなく、正直なところでは審判が試合のレベルに対応できていなかったという印象。このレベルの試合を裁ける審判が、2種ではなかなかいないというのも分からなくはないが...

しかし、この後の10分ほどは、FC東京の底力を思い起こさせるものだった。退場直後のプレーから10番佐々木が猛烈な勢いでボールホルダーを追い始めると、スイッチが入ったようにチームが連動。一人少ない状況で、FC東京お家芸の鬼プレスを敢行して自チームへとペースをもたらしていく。さすがに試合終了までハイペースのプレッシングはもたなかったが、この時間帯に、この日は最もFC東京らしさを垣間見ることができたように思う。

試合はそのまま終了。スコアレスではあったものの試合のクオリティは高く、例年と違わず関東のレベルの高さを改めて確認させるものだった。このレベルのチームと戦ってこその全国だと思うし、今年に限ってはどちらの東京もウチとの試合はリベンジの想いを持って猛然と襲いかかってくるのだろう。厳しい戦いを経て、今年もまた選手たちがより一層成長していく夏となることを期待したい。


今年もまた、Jヴィレッジが待ち遠しい季節になってきた。

*1:今シーズンは、例年と比べて観にいけている試合が少ないのですが...

*2:東予選の組み合わせをみると、J下部組織であってもグループ2位以内というのは容易ではなさそうですね。

*3:ただ、観に行きやすい場所にもグラウンドがあるという点では関東の方がちょっと進んでいるような気もします。