高円宮杯 全日本ユースサッカー選手権大会を終えて

セレッソ大阪U-18はFグループを1勝2敗、得失点差±0の3位でグループリーグを通過。
9/22、ベスト16で宿敵ガンバ大阪ユースと激突。激戦の末に2-3で敗戦。しかし、全力を出し尽くした彼らの、セレッソ大阪としてのプライドが強烈に伝わってくる、そんな試合だった...

グループリーグ初日の流経大柏戦。開始早々に藤本→永井のゴールで得点を奪いリードするも、後半、ジリジリと攻め立てられ逆転を許す。逆転を許してしまったことよりも、終盤、1点を奪いに行かなければならなかったのに、流経柏の巧みな試合運びによって、それを全くさせてもらえなかったことの方が悔しかった...

グループリーグ2日目、新潟ユース戦。カウンター主体の相手に押し気味も決定機を作るまでは至らなかった前半。しかし、後半から投入された大庭が右サイドを制圧し、チームの歯車は一気に噛み合い始める。タカ→永井のセットプレーで先制し、螢の豪快ミドルで2点を奪う。守備では篠原を中心とした堅固なディフェンスとチーム全体の連動したプレスで新潟ユースを圧倒。2-0の快勝で決勝トーナメント進出に向け一気に弾みをつけた。

グループリーグ3日目は広島皆実戦。ともに1勝1敗、得失点差から引き分けでもセレッソの2位が確定するという一戦。前半、赤堀の左からのクロスを螢がファーでヘッドで合わせて3戦連続の先制点も、CKをファーで合わされ同点で前半終了。後半、システム変更の混乱の中で奪われたFKを合わされ1-2と逆転を許し、修正の効かないままタイムアップを向かえ、痛恨の敗戦を喫する。広島皆実は攻守のバランスが良く、高い技術も併せ持つ好チームだった。

1勝2敗の3位でGLを終えるものの、他グループとの兼ね合いから何とか決勝トーナメント進出を掴み、Dグループ1位のガンバユース戦に挑んだ。

前半、カウンターから失点を喫するも、落ち着いてセレッソ大阪U-18本来のサッカーを遂行し、少しずつ試合の流れを引き寄せてくる。健勇は必死のディフェンスで同じ中学3年生の宇佐美の突破を封じ、時間の経過とともに攻撃でも主導権を握れるようになってくる。本間は最終ラインからのコーチングでチームを引き締め、光は3年生の経験でCBとしての仕事だけではなく同じサイドの健勇のフォローもこなす。篠原は1年生らしからぬ落ち着きとメンタリティでディフェンスラインを引き締め、畑はカバーリングと大塚への厳しい対応で攻撃の芽を摘み取る。
細見は豊富な運動量を活かした献身的なディフェンスと積極的なチェイシングでピッチを縦横無尽に駆け回り、道上は躍動感溢れるドリブル突破で左サイドで主導権を握る。
赤堀の存在は今やセレッソ大阪U-18の生命線。最前線からの労を厭わない献身的なチェイシングはガンバ最終ラインの混乱を誘う。永井は苦しい中でも前線からの守備に奔走し、決定機を虎視眈々と狙い続ける。キャプテンの健太は最前線でターゲットとなりボールを収め、その背中でチームを引っ張る姿は攻撃にリズムをもたらした。

そして、両チームを通じてこの試合最も輝きを放ち続けた螢のゴールで1-1の同点に。右サイドからペナルティエリアにドリブルで進入し、グラウンダーのシュートは逆サイドのネットを揺らす。高い技術と広い視野だけではなく、ディフェンスにおいても鍛えられたフィジカルで相手ボールを掻っ攫う逞しさに、成長の跡が感じ取れた。

その後、ディフェンスラインの裏を取られ1-2と再び引き離されるものの、精神的に切れることのなかったセレッソ大阪U-18の選手達。PA内右でボールを受けた永井が、誰もがシュートと思った瞬間に切り返しを入れて左のスペースにグラウンダーのパス。ここに飛び込んできた道上がスライディングでゴールに流し込み、2-2の同点。勢いづくセレッソ、焦るガンバ。ここから試合はカウンターの応酬による打ち合いの様相に。

絶妙なタイミングと思われた克麻の決定的な飛び出しはオフサイドの判定になり、逆に相手の決定的な場面を本間の好セーブで防ぐなど一進一退の攻防が続いたが、ついにロスタイムに均衡が破れる。

押し気味のセレッソに対し、カウンター一発で抜け出され、決勝点を押し込まれてしまう...

反撃する時間は残されておらず、2-3のままタイムアップ。今シーズンのベストゲームと言える内容も、勝負の綾か経験の差なのか、セレッソ大阪U-18の挑戦はベスト16という結果で幕を閉じた。

1日経った今も、この試合をどう飲み込めば良いのか整理できていない...まず、これだけ全てを出し切ったにもかかわらず敗れてしまったことが悔しい。試合後、挨拶に来てくれた選手達の表情が全てを物語っていただけに、何とか次のステージに彼らを進めさせてあげたかった...

逆に、この素晴らしいゲームに、彼らの成長や逞しさを感じることができ、少し喜びを感じている自分もいる。この日の悔しさを忘れずに戦い続ければサハラの予選は間違いなく突破できるだろうし、次の南津守でのガンバ戦はきっと勝てる。そう思わずにはいられない。

それから...、このチームの成長は3年生の力があってこそ。試合に出ても出られなくても、絶えずチームを引っ張ってきた選手達。彼らがいなかったら今年のチームは無かった。彼らの存在こそ、セレッソ大阪の誇りだと、僕自身は思う。

U-18世代の3大タイトル、残すはJユースサハラカップのみ。ひとつひとつ、足元を見据えながら着実に。でも、目指すところはただひとつ。長居スタジアムで戦って、勝とう。君達なら、君達がひとつになれば、できる。心の底から、そう思う。

難しいことを考える必要はない。精一杯やりきればいい。
頑張れ!セレッソ大阪U-18!!