プリンスリーグ関東 横浜F・マリノスユース vs 市立船橋高等学校 @グラスポ(船橋市法典公園)球技場

W杯もいよいよ決勝を残すのみとなり、意識もかなり日常生活のサッカーに戻り始めてきた今日この頃。関東プリンスも最終節ということで、FC東京三菱養和の深川決戦...ではなく、クラ選で4年連続の対戦が決定したマリノスユースを見に船橋まで行ってきました。

前日の下調べで駅からのバスの本数はそれなりに多いと思い込んでいたのだが、実際は西船橋駅から辿りつける系統はおよそ30分に1本。更にバス乗車時間が30分と予想外続きで、到着と同時にキックオフという状況...


横浜F・マリノスユース (プリンス関東2010 第11節) のフォーメーション

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スタメン布陣を書いてはみたものの、実際のポジショニングは流れの中でかなり流動的。中盤の6澁谷と14熊谷は、マリノスがポゼッションしている時間帯は積極的に市船の最終ラインの裏を狙う動きをみせる。27喜田は2人と較べて攻撃参加は抑えめではあったが、状況に応じてサイド深くに流れてチャンスメークに絡む場面も何度か見られた。

前線は関東プリンス得点王の10小野を中心に据えた3トップ。こちらも上記の配置を軸として、互いにポジションチェンジしながら左・右・中央と流動的に流れていく。

加えて、両SBが高い位置取りから積極的に攻撃参加を仕掛ける場面が多かったのは、昨年のクラ選ラウンド8で観たマリノスと同じ。トップ・中盤・両SBと、CBを除くすべてのポジションの選手が積極的に攻撃に関わるスタイルは昨年と変わらないという印象を受けた。

また、中盤が逆三角形に近い4-3-3のようにも見えたが、組織的にポゼッションからじっくりボールを回すというよりは、両SBを絡めたサイドアタックか最終ラインから市船ラインの裏を狙うフィードが多く、どちらかというと縦への速いアクションが印象的。また、左から右へのサイドチェンジから、3星のアタックを活用する場面も何度か見られた。

先制点はその最終ラインのフィードからもたらされた。前半40分、左SBの19宮本が通した市船ライン裏へのフィードを、10小野がヘッドで合わせてマリノスが先制。高円宮杯へ、そして来年の全国リーグ出場へ勝ち点3の欲しいマリノスがリードして前半を終了した。

しかし後半13分、センターライン近くマリノス陣地内右で市船がFKを得ると、長めのフィードをヘッドで合わせて市船が同点に追いつく。このゴールで試合が再び動き始め、勝ち点3の欲しいマリノスはより積極果敢に市船ゴールへと仕掛けていく。

7松本が左へと大きく開いて10小野との連携からサイドの突破を図ると、14熊谷もボランチの位置からポジションを上げ、前線に張る時間が増え始める。全体として個々人の能力の高いマリノスだが、ドリブル突破という点では10小野が特に抜けており、対戦相手としては前を向かせてプレーさせたくない選手。また、7松本もドリブルのキレに加えて、精度の高いプレースキックで全てのセットプレーのキッカーを担当。得点にこそならなかったが、無回転と曲げて落とすFKのいずれもこの試合で蹴っていた。


横浜F・マリノスユース (プリンス関東2010 第11節) のフォーメーション

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終盤には2小林をターゲットマンとして最前線に投入し、最終的なフォーメーションは上記のような形。マリノスの決定的なシュートはバーに弾かれ、終盤にはFKやCKから何度かチャンスを作るものの、最後のところでゴールを割ることができない。一方、前掛かりとなったマリノスに対して市船のカウンターも機能し始めることで、マリノスがやや押し気味ではあったものの、両チームに得点の匂いの漂う一進一退の攻防が続く。ロスタイムには、ラストプレーかと思われたマリノスの右CKを市船DFがクリアすると、市船攻撃陣がカウンターで一気にマリノスゴールへと迫る。そして、決定的と思われたシュートがわずかにゴール右へと外れると同時に、試合終了のホイッスル。両チームともに1-1のドローという結果で、プリンスリーグ関東2010を終了した。

マリノスはこの試合で勝ち点1を積み上げ、高円宮杯へは関東の6枠目に滑り込んだものの、来年から始まる全国リーグにはあと一歩及ばず。チームとしては攻撃面に特徴を押し出すという意味で昨年と似たコンセプトといえそうだが、個人的には昨年よりも組織<個人という印象が強いようにも思われた。

クラ選での対戦はグループ3戦目となるため、これまでのような大会初日やラウンド8での対戦と比較して、勝ち点や得失点の絡みからこれまでにはなかった微妙な駆け引きが出てくるかもしれない。その意味で、両チームともにプリンスで繰り広げてきたサッカーとは多少異なるアプローチを取る可能性も考えられるが、昨年のクラ選王者と高円宮杯王者の激突する一戦が、今年のクラ選における屈指の好ゲームとなることを期待したい。