プリンスリーグ関西 vs 神戸市立科学技術高等学校 @堺NTC S10

プリンスリーグが開幕すると、いよいよ本格的にシーズンが始動したと感じさせられる。開幕戦の舞台は今年オープンした堺市立サッカー・ナショナルトレーニングセンター。自分が育った堺の土地に、しかも工業地帯とはいえ中学時代の学校区内にこのような施設ができたことは本当に感慨深い*1。「Jヴィレッジと比べたら...」という声もあったが、J村は特別。自分の中では浦安の某施設を遥かに凌ぐ夢の国なので(笑)

スタッフが一新して臨む開幕戦は、例年以上に期待と不安が入り混じる。滝二と並ぶ兵庫の双璧、科学技術高校にセレッソ大阪U-18が挑む一戦となった。


セレッソ大阪U-18 (プリンス1節 vs科学技術高校) のフォーメーション

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チームスタッフが変わってメンバー選考やポジションは大きく変化。健勇は世代別代表と同じFWでの起用、凌輔もJユース選抜のときと同様にボランチとしてチームの舵取りを担う。一昨年、昨年とサイドアタッカーとして存在感を放っていた堀尾はCBへとコンバート。そして、昨年はなかなか出場機会に恵まれなかった慶太と舜司がそれぞれボランチとFWでスタメン出場を果たした。この日にいちばん嬉しく感じたことは、彼らが活き活きと持ち味を発揮してプレーしていたこと。

また、ここ数年のU-18の結果は、いずれも最終学年の選手たちがしっかりチームを引っ張ったことで得られてきた。守護神の西浦やユーティリティ性が持ち味の野口。チームのリズムを変えるレフティーの宗徳と、この日は出番がなかったが昨年は前線のハードワーカーとしてフル回転した豪。彼ら3年生のプライドに、今年も強く期待していきたい。

最終ラインは佑平が堀尾とのコンビでセンターを固める。佑平は2年生ではあるものの、持ち前のキャプテンシーを昨年以上に強く発揮してほしい。そして野口が左SBを担い、右サイドには津守U-15から昇格した藤原雅斗を抜擢。自分の中ではCBの印象が強い選手だが、SBとしても90分を通して安定したプレーを披露。

中盤はキャプテンの凌輔と慶太の3年生がダブルボランチを形成。そして2列目は左に西U-15出身2年生の西村洋亮、右には現U-16代表のエースにして昨年のU-15クラ選得点王の南野拓実

FWは3月の遠征でU-19へも飛び級招集された健勇と、今年の10番を担う舜司の2トップ。システムの上では4-4-2と昨年と変わらないが、アプローチは全く異なる。ロングボールも厭わず縦への速い展開を意図していた中谷セレッソとは違い、大熊セレッソはショートパスを多用したテンポの速いサッカーを志向する。

セレッソがやや押し気味に進めるなか、前半7分に試合は動く。凌輔の放ったミドルをゴール左で舜司が拾ってグラウンダーで折り返したところに拓実が詰めて先制ゴールを奪う。その後は最終ラインからショートパスでの繋ぎを意図するセレッソと、前線のプレスで対抗する科学技術高校との間で膠着状態が続く。

ビルドアップの繋ぎをインターセプトされ最終ラインの裏を狙われる場面が散見されたのは今後の課題だが、この試合では堀尾や佑平のカバーリングと西浦の的確な対応で難を逃れた。このあたりは3人目のサポートの速さなど、必ずしも守備面だけに限らず攻守両面の質の向上によって改善していくのかなと素人目には感じましたが。

そして前半終了間際の44分、ペナエリア手前から拓実が裏街道で突破すると、きっちりゴールへと流しこんで2-0で前半終了。昨年のJヴィレッジサンフレッチェ常石戦で同じカタチのゴールを観た記憶が呼び起こされるゴールだった。

後半もやや押し気味に進めながらも膠着状態が続いたが、58分に健勇とのワンツーから拓実が右サイドを抜け出すと、きっちりゴールを奪ってハットトリックを完成。昨年の夏のクラ選や冬の高円宮杯で見せつけた、世代屈指の得点力を証明する試合となった。

その後は積極的に選手交代を進めていったセレッソ大阪U-18。ケンジと西村拓馬はそれぞれ中盤の右と左を担当。ケンジは持ち前のスピードを活かした縦への突破で存在感を表し、拓馬は双子の洋亮と同様に献身的な運動量とテクニックで攻撃に貢献。そして80分にケンジが右サイド奥深くを突破すると、折り返しに拓馬がヒールで合わせて逆サイドネットを揺らして4点目を奪取。交代メンバーが結果を出す好循環で試合を一気に決定づける。

また、昨年まではサイドアタッカーとしての出場機会が多かった宗徳は、この試合ではボランチとして出場。トップで名波を観てからレフティーのボランチは魅力的な存在に映るが、この日の宗徳も独特のリズムで攻撃にアクセントを加えた。

更に舜司に変わって昨年の西U-15のエース長谷川将がピッチに入ると、ボディバランスの良さを活かしてペナエリア中央へとドリブル突破。健勇の決定的なシュートを誘発するなど持ち味を発揮した。

最後に野口に代わって左SBに古川が入ると、持ち味の献身的な上下動でポジション争いをアピール。ロスタイムには宗徳のクロスをファーの健勇がヘッドで合わせてダメ押しのチーム5点目を奪う。5-0と予想以上の完勝で、プリンスリーグ開幕戦を白星で飾ることができた。


セレッソ大阪U-18 (プリンス1節 vs科学技術高校) のフォーメーション

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ここ数年は、大本命不在の中で優勝争いが繰り広げられているプリンスリーグ関西1部リーグ。神戸と京都の他のJユースも苦しみながらも勝ち点3の奪取に成功しており、リーグ制覇に、そして高円宮杯への出場権獲得に向けて気の抜けない戦いが続いていく。

また、この時期は両チームとも構築途上ということもあって攻守に課題が散見される部分もみられたが、チームコンセプトは明確だと思うので、ひとつひとつ、着実にステップを上がっていってほしい。そして今年も例年に劣らず熱い一年となることを、セレッソユースに関わる選手たちが大きく成長する一年となることを願っています。

頑張れ!セレッソ大阪U-18!!

*1:自分が中学生の頃は光化学スモッグで夏にサッカーのできない日が何度かあったが、今は大丈夫なのだろうか?