U-15高円宮杯グループE vs 愛媛FCジュニアユース @鳴門・大塚スポーツパークポカリスエットスタジアム

グループ突破の可能性を信じて愛媛FCとの一戦に臨んだ西U-15。この試合でできることの全てを出し切って、そのうえで下される結果を待ちたい。


 GK: 有井
 DF: 岡山、正條(→坂手)、河面、岡田武
 MF: 南、平田(→萩原)、吉永、天野[CAP]、竜田(→吉本)
 FW: 長谷川


キャプテンの優雅は怪我のためにベンチスタート、そして将を夏の頃やU-18帯同時のようにFWに配する攻撃的な布陣。この試合がラストゲームとなることが既に確定している愛媛FCは、立ち上がりから鋭い出足で積極的にセレッソ陣内へと仕掛けてくる。しかし時間とともに西U-15がボールを支配する展開へと移行すると、センター、サイドとボールを目まぐるしく動かしながら愛媛ゴールへと仕掛けていく。

対する愛媛FCのディフェンスも激しく、カウンターを受ける場面もあったが、GK有井を中心とした対応でピンチを未然に防ぐ。ポゼッションはセレッソだったが、こちらも決定的なシーンを作り出せないまま、10分、20分と刻々と時が刻まれていく。1点でも多くという目標から、焦りが出始めてもおかしくない時間帯だった。

そして均衡を破ったのは前半30分。左CKから放たれた南のクロスを、ペナエリア中央で河面がヘッドで合わせて先制点を奪う。更に、直後の33分にも天野のパスを受けたエースの将が決めて2-0として前半を終了した。

ハーフタイム、電光掲示板には球技場で行われている途中経過が掲示される。『岐阜2-0常石』という掲示は、選手達が再びピッチに出てきた時点でも大きく残ったままだった。ハーフタイムにスタッフから選手達に伝えられていたかは分からないが、後半開始時点で、おそらく全ての選手がグループ突破に向けた厳しい状況を理解していただろう。

しかし、そのような状況下にあっても更にアグレッシブに走り続けた後半の40分間は、観ている側の心を打つものだった。開始早々の後半1分に南がゴールを決めると、後半8分、10分とたて続けにゴールを奪って僅か9分間でハットトリックを達成する。直後の後半12分にも、岡山のクロスを受けた将がこの日2点目となるゴールを流し込む。後半開始からの怒涛のゴールラッシュで一気に6-0とし、この時点でグループ突破に向けた最低限のノルマを達成した。

その後も足を止めることなく走り続ける西U-15の選手達。昌規に代わって萩原が入り将との2トップとなると、正條に変わって優雅、更には竜田に代えて吉本を投入して武瑠を1列前へと上げる。吉永がやや下がり目となってSBだった岡山と吉本の両ワイドがさらに高い位置に張り出し、2バック、もしくは3-3-4のような布陣で更に攻撃の圧力を強めていく。

そして後半25分に萩原がチーム7点目となるゴールを決めると、後半27、28分と立て続けに南がゴールを奪う。南は後半だけで5ゴールの圧巻の活躍。そしてチームとしても9点差と大きくスコアを広げて、試合は終盤を迎える。

選手達の足は止まらない。将が最前線から愛媛の最終ラインに対して、猛然とプレッシャーをかけ続けていく。そしてボールを奪えば次々と選手が追い越し、ゴールへと果敢にチャレンジしていく。この1年、チーム全体でボールをじっくり動かしてきた印象の強い西U-15とはまた違う、迫力のあるアタックが最後まで続いた。

そして後半ロスタイムに萩原がこの日2点目となるゴールを奪って10-0とし、スタジアムに主審のホイッスルが鳴り響く。試合終了と同時に全てを悟ったかのような選手達の表情。そこに喜びはなく、悲しさの漂う圧勝劇が今年のセレッソ大阪西U-15のラストゲームとなってしまった...

3年前の津守U-15も夏はクラ選の関西予選で敗退、冬の高円宮杯もグループで敗退と今年の西U-15と同じような悔しさを味わっている。しかし、ここから成長していった扇原貴宏永井龍、一森純といった選手達が中心となって、今年のU-18クラ選を制した。タカと龍は世代別代表へと定着し、そしてトップチームへの昇格を決めている。また、冬の選手権に出場する関大一高のキャプテン小谷祐喜や東福岡高の篠原弘次郎のように、ここから成長して新たなステージで活躍している選手達も多い。

今年で西U-15を卒業する選手達も先輩達と同じように、次のステージがセレッソであっても、それ以外のチームであったとしても、今大会の経験を糧により一層成長していってほしいと思います。そして、新たな環境で活躍する姿を、いつか見聞きできることを願っています。また、今大会に帯同した2年生達は、この経験を来年のチームに繋げて、次は自らが中心となって西U-15を引っ張っていってください。

グループ突破に向けて厳しい状況下にあっても、一丸となってベストを出し尽くした選手達と、選手達を支え続けた親御さんとスタッフの方々は素晴らしく、この試合を観ることができたひとりのセレッソファンとしては感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。

最後に、今年の西U-15のサッカーは、6年間ユース年代を観てきた自分にとって大きな驚きとなりました。それだけに...という考えがどうしても過ぎってしまいますが、新たなチームでも今年の西U-15のように、多くの人を唸らせるようなサッカーが実現されることを願っています。


今年1年、お疲れさまでした。そして、素晴らしい試合をありがとう。
セレッソ大阪西U-15の選手達