クラブユース選手権(8/15,16)

セレッソ大阪の優勝で幕を閉じたU-18クラブユース選手権から2週間、今度は津守U-15が全国の頂点を目指した戦いに挑む。

第24回 日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会、グループリーグ初戦は激戦の関東地区を2位で勝ち上がってきた強豪、横浜F・マリノスジュニアユースとの一戦。


 GK: 置田[CAP]
 DF: 阪上(→森定)、藤原、吉藤、岩井(→蓑岡)
 MF: 平松(→今井)、京井、池田、井口(→藤川)
 FW: 秋山、南野


僕達を見つけて、「おっ!(サポの人が)来てる!」という選手達の表情を見ることができて、またJヴィレッジに来ることができて良かったと思った。そして、試合に勝つことで彼らにとって良い記憶と経験になってくれれば...そう思って試合に入ることができた。

昨年にJヴィレッジを経験したメンバーが多く残る一方で、2年生の岩井と京井をスタメンに抜擢して今大会に挑む古賀セレッソ。初戦特有の硬さがみられる場面もあったが、キックオフから集中した試合への入りで序盤はセレッソが主導権を握る。対するマリノスは初戦の硬さが強かったのか、局面でセレッソが競り勝ちセカンドボールを支配すると、拓実、大地、井口、平松の前線4人を中心に果敢にアタックを仕掛けていく。試合前は初戦はドローで充分と(勝手に)考えていたのだが、観ている側も思わず勝ち点3への欲が出てしまいそうな展開が続く。

しかし、攻勢の中に落とし穴が。マリノスの波状攻撃からクリアボールが味方に当たりペナエリア中央に転がると、これを抑えたマリノスの10番にゴールへと流し込まれて先制を許してしまう。これでガクッと来てしまうと苦しくなったかもしれないが、落ち込むことなくしっかり切り替えができていたところに関西予選からの成長が感じられた。

そして先制点から4分後の前半29分、井口のスルーパスに反応した拓実がディフェンスラインの裏へと抜け出す。右サイドからそのままペナエリアへとトップスピードで進入すると、左足のシュートフェイントで相手GKを転ばせて、その上を浮かせてゴールへと流し込む。技ありのゴールで同点とすると、その後のプレーでも同じ形でディフェンスラインの裏へと抜け出す。そしてペナエリア付近から放たれたループシュートがゴールバーに弾かれた瞬間、観ている側は思わず身体を仰け反らしてしまった...

後半開始から井口に代えて藤川を投入し、縦への勢いを増して前半と同様に攻勢に出る津守U-15。更に関西予選のラッキーボーイ今井と2年生アタッカーの森定を投入して攻撃姿勢を緩めない。残り10分になると、左サイドで奮闘していた岩井に代えて蓑岡を投入。縦へと速くボールを運んで失点のリスクを避けながら勝ち越しゴールを狙ったものの、決勝点を奪うには至らず1-1のまま試合終了。シュート数を見ても13対1と圧倒していたように、試合が終わった直後は「勝ち点3取れた試合」「勿体無いかも」と思ったし、試合後に話をさせていただいた風巻さんにもそのようなことを言った記憶がある。しかし、当面のライバルと目されるマリノスに勝ち点を与えなかったことは大きく、Bestではないかもしれないもののグループ突破に向けては良い結果だった。



大会2日目は、中国地区代表のサンフレッチェ常石F.C.との一戦。初戦に勝利した常石は、セレッソに勝つとグループリーグ突破をほぼ手中にすることになる。グループリーグ突破に向けて、セレッソとしては落とすことのできない一戦。


 GK: 置田(→岩田)
 DF: 阪上(→今井)、藤原(→永田)、吉藤、岩井
 MF: 平松(→西本)、京井(→木邨)、池田、井口
 FW: 秋山、南野


マリノス戦と同様に序盤からセレッソが攻勢を仕掛けるものの、サンフレッチェの献身的なディフェンスに阻まれてあと一歩が届かない序盤の展開。しかし、波状攻撃から先制点を奪うことに成功した。

前半15分、ペナエリア内の混戦から拓実が放ったシュートは相手DFに阻まれるものの、こぼれ球を池田力が拾うと、ペナエリア内左から逆サイドへ右足インサイドで丁寧に流し込む。この2日間、セカンドボールへの読みとフィジカルで中盤を制圧し、攻撃にリズムをもたらし続けたチカラのゴールで試合の主導権を握ることに成功した。

その後も攻め続けたものの、サンフレッチェの集中したディフェンスに、あと一歩のところで弾き返される展開が続く。「前半で2点目が取れたら...」という思いが浮かび始めた前半の33分、井口が左サイドを突破して上げたマイナスの速いクロスに、ペナエリア中央に飛び込んだ拓実がヘッドで合わせる。終了間際に相手を突き放す理想的な展開で前半を終了し、後半へとつなげることができた。

そして後半2分に拓実がダメ押しの3点目を決めると、試合は完全にセレッソペースに。

後半8分に拓実がビルドアップのパスをカットするとそのまま右サイドを突破。GKを引き寄せると中央でフリーになっていた大地へと折り返し、無人のゴールへと流し込んで4-0。

後半14分、拓実から裏へと飛び出した大地へのスルーパス、と思いきや裏街道で自ら突破してミドルを突き刺し5-0。この時点で、拓実はハットトリックを達成。

この前後には勝利を確信したこともあったのだろう。古賀監督は積極的な交替策に出る。後半13分には京井に代えて竜馬をボランチに投入。後半19分には平松に代えて、中学1年生ながら今大会に帯同している昨年のU-12キャプテン、マーボーを投入。この直後に大地のアシストから拓実がこの日4点目を叩き込んで6-0とすると、後半23分には置田に代えてGK岩田を、そして28分には里樹に代えて今井を投入。竜馬が右SB、大地がボランチへと下がって拓実、今井の2トップへと移行する。

このまま試合終了でも充分過ぎる内容だったのだが、選手達は手を緩めなかった。後半ロスタイム3分、拓実が左に開いてキープすると、今井がウェーブの動きでラインの裏を狙う。拓実から出されたスルーパスに反応して放ったシュートは右サイドネットを揺らして7-0。自分のいた場所から見て、スルーパス、今井の動き出し、シュートが一直線に重なって見えた美しいゴールだった。更にロスタイムのラストプレーで拓実がGKをかわして8-0とすると、直後に試合終了のホイッスルがピッチ7に鳴り響いた。

自分はこの日で帰宅の途に着いたが、3日目にも拓実が5ゴールを奪う圧巻の活躍。スタッツを見れば、グループ3試合で拓実の11ゴール2アシストと驚異的な数字となっているが、津守U-15は決して拓実のワンマンチームではない。拓実が前線で攻撃に注力できる理由には、ディフェンス陣の安定がある。池田力のセカンドボール奪取率がセレッソのボール支配率に繋がっている部分は大きいし、吉藤の対人の強さや藤原のフィジカルの強さも、ここ2試合で強烈な印象を残した。

ゲームキャプテンの置田は最終ラインからフィールドプレーヤーを鼓舞し、セレッソの守護神に相応しいハートのあるプレーを披露。里樹も持ち前の攻撃力と献身的な上下動でチームに貢献し、岩井も精度の高い左足と粘り強い守備で対応。井口と瞬の突破力は、2試合を通して相手DFを圧倒していた。大地はまだ1ゴールだが、マリノス戦では対人のスキルで圧倒。展開によっては、拓実の11ゴールの半分を大地が取っていてもおかしくはなかったと思う。

京井はチカラのサポートに徹する場面が多かったように思われたが、本来の能力はもっと上だと思う。関西プレミアで見せた能力の高さを、決勝トーナメントで披露してくれることを期待。そして他のベンチメンバーも、能力面では全く劣っていない。津守U-15の強みは、スタメンとベンチで差のないクオリティの選手が揃っている層の厚さにあると思う。決勝トーナメントからは総力戦になると思うので、全ての選手が良い準備をして試合に臨んでほしいと思う。

ラウンド16とラウンド8は、残念ながらサポーターが訪れるのは難しい状況。しかし、ラウンド4の土曜日になれば、U-18のときのようにサポーターがJヴィレッジスタジアムに集結すると思う。本当に身勝手な思いでしかないが、もう一度、土曜日にJヴィレッジを訪れさせてほしい。今週末に、再び君達の勇姿が観れることを願ってやみません。

頑張れ!セレッソ大阪U-15!!