JA全農チビリンピック

5/4(月)、5/5(火)の2日間、日産フィールド小机日産スタジアムで行われたJAチビリンピック全国大会。8人制サッカー日本一を目指して各地域の9代表の熱戦が繰り広げられた。

セレッソ大阪U-12は関西地区代表としての出場。2月に行われた大阪府中央大会で準優勝、そして3月の関西大会を制して得た全国大会の舞台。抽選の結果、5/4はグループリーグCに所属して、関東地区代表の「川崎フロンターレU-12」、九州地区代表の「あぐり西町FC」と、翌日のベスト4を目指して試合に挑んだ。

今大会の8人制サッカーはフルコート1/2弱のピッチサイズで実施され、1ピリオド12分の3ピリオド制を採用。1ピリオドと2ピリオドでは選手の総入れ替えが定められているため、ゲームを成立させるためには最低16人が必要となる。ボールに触れる機会を増やすための8人制、そして多くの選手が試合経験を得るための選手総入れ替えは、実戦機会の拡大を重視したU-12ならではのレギュレーションといえるだろう。

また、各ピリオドごとにコートチェンジを行い、更に第三ピリオドでは6分が経過した段階でもう一度コートチェンジを実施。コンディションの影響を極力排除しようという配慮がなされており、この日のように風の影響が大きい日でも平等性を保つことのできる良いルールだなと思った。


【5/4 グループリーグ第一試合:vs 川崎フロンターレU-12】

初戦の対戦相手は2年連続でダノン・ネーションズカップを制し、優勝候補筆頭といえる川崎フロンターレU-12。フロンターレは前の試合であぐり西町FCを下しており、ベスト4進出へリーチをかけた状態。

第一ピリオド。立ち上がりに互いにシュートがゴールバーに阻まれる決定機を演出した後は、風上に陣取ったセレッソ大阪U-12がやや優位に試合を進める。センターに位置する山本智也の配給を基点にサイドからの崩しでゴールに迫る。終盤は逆にフロンターレにペースを奪われる場面が多くなったが、トータルでは互角といっていい内容のスコアレスで終了。

第二ピリオド。風下となって苦しい場面もメンバー全員で絶えたものの、フロンターレの圧力の前に失点を喫し、フッと集中が緩んだところで更に追加点を奪われてしまう。完全に崩されたというよりは、フロンターレの圧力に押し切られたような形から2点のビハインドを負い第二ピリオドを終了する。

第三ピリオド。第一ピリオドのメンバーをベースとして挑んだ12分は、得点を奪っては突き放されの一進一退の攻防。伊東伶惟と井上泰斗のゴールで詰め寄ったものの、トータル2-4で試合終了。トーナメント進出に向けては厳しいスタートとなった。

負けてはしまったが、試合そのものは非常にポジティブな内容だったと思う。第一ピリオドは風上だったということもあるが、互角以上の内容を展開。第二ピリオドは押し込まれてしまったものの、完全に崩されたというモノではなく、チームとしての集中や選手間のサポートなどで改善できる部分が多いように感じられた。第三ピリオドも2-2とスコアの上で互角の展開を演じており、全国トップを相手にしても充分戦えるという手応えがあったのではないだろうか。それだけに、何としてもベスト4に残ってもう一度フロンターレと戦う機会を得て欲しいと思わされる一戦だった。


【5/4 グループリーグ第二試合:vs あぐり西町FC】

この試合の前に行われたグループAとBの試合において、各グループのいずれかに1勝1分の2位チームが出た時点でグループ敗退が決定してしまう状況。しかし、ずれのグループも2位チームは1勝1敗となり、この時点でセレッソ大阪U-12のベスト4進出条件は2点差以上の勝利と目標が明確になった。しかし、対戦相手も数字上の可能性を残した九州地区代表の強豪であり、難しい試合になると予想された一戦。

第一ピリオド。フロンターレ戦と同じ布陣で挑み、相手チームを押し込む機会が多く観られたものの、決定機を決められないままスコアレスで終了。1点取れば雰囲気はガラッと変わるはず...そう思われる展開だったが、大一番ほど1点の重みは強く感られてしまうのだろうか。

第二ピリオド。ソウルフルな2トップが爆発。花田佳惟斗のゴールで均衡を破って、チームに勢いをもたらした。その後、同点とされてしまったが、西川太一朗のゴールで突き放して再びチームの勢いを取り戻す。そして花田が2ゴール目を奪い、このピリオドで目標としていた2点差のリードを作り出すことに成功した。

第三ピリオドは、第一ピリオドと同じメンバーで挑み、セレッソ大阪のペースで試合は展開。得点こそ奪えなかったものの、丹羽将太郎と八阪駿平の対人に強いディフェンスで危険な場面を未然に防ぐ。また、簗脇将平や途中出場の田中優暉の突破からチャンスを演出し、最後まで追加点を狙い続けた。最終的に3-1のまま目標の2点差ゲームを達成して、ベスト4への切符を手に入れることに成功した。

この日は、セレッソにとって2つの幸運があったように思う。ひとつは、第二試合を「2点差勝利」という明確な目標のもとに挑むことができたということ。タイムスケジュールの上でグループCのみ遅れた時間に試合が実施されたことにより、グループ突破の条件が明確な中で試合を行うことができた。この点は、他チームに較べてラッキーな部分であったように思う。

もうひとつの幸運は、所属グループが厳しいグループだったということ。他グループのチームも、もちろん激戦を勝ち抜いて勝ち上がってきた強豪で構成されていた。しかし、関東と九州という、ひときわ激戦の地区を勝ち抜いた相手との試合を経験できたことが、選手達にとっては貴重な経験となっただろう。そして、こうした強豪との試合を制していくことによって、個人としてもチームとしても、より一層の成長を期待することができる。個人的に心からそう思えるようになったのは、昨夏のU-18クラ選を経験し、更に昨冬のJユースカップの躍進にセレッソ大阪ユース世代の底力を見れたことが大きかったからかな。


【5/5 準決勝:vs 山形FCジュニア】

前日に行われた抽選の結果、ベスト4の対戦相手は山形FCジュニアに決定。この試合を制して、日産スタジアムのピッチに立ちたい。

第一ピリオド。前日と全く同じメンバーでスタート。今大会ベストの内容で山形ゴールに迫るものの、あと一歩のところで先制点を奪うことができない。得点にこそならなかったが、サイド攻撃からペースを掴む展開。1点でも入っていればパーフェクトといえそうな内容のまま、勝負の鍵は第二ピリオドへと移行する。

運命の第二ピリオド。昨日に続く花田のゴールで決勝進出をグッと引き寄せた。ディフェンスでは、森澤樹と重光啓典の安定した対応によってゼロ封に成功。攻撃面では、中塚海斗の配給に井上と西口黎央が絡んでチャンスを演出。昨日のあぐり中町FC戦に続いて、第二ピリオドの選手達がゲームを決定付ける大きな仕事を果たしたといえるだろう。

第三ピリオドでは、第一ピリオドの2トップがきっちり結果を残して相手を突き放す。簗脇と舩木翔がサイドの突破からチャンスを演出。そして、舩木の左サイドからの高速クロスをニアで伊東がヘッドで合わせたゴールは今大会の中で最も綺麗な崩しだった。その後、岡田優大のゴールで3-0と突き放し、終盤には途中交代で入った松井雄大も積極的なプレーでチームに貢献。決勝戦が行われる日産スタジアムへの切符を獲得し、午後の決勝戦では川崎フロンターレとのリベンジマッチに挑むこととなった。

この試合でも何度かピンチがあったが、GKの森本恭平と稲垣佳祐の積極的な飛び出しが印象的で、彼らのプレーがゼロ封に大きく貢献。全国ベスト4の強豪を相手にゼロで抑えられたことは、彼らやDF陣にとっても大きな自信になっただろう。


【5/5 決勝:vs 川崎フロンターレU-12】

個人的に日産スタジアムは2005年以来か。J1優勝にあと一歩と迫った33節、開始早々に相手のクリアボールがどフリーのモリシの足元に吸い込まれた場面は、今でも鮮明に覚えている。スタンドから見る景色はあの頃と全く変わらないな。1点だけ「ちょっと...」と思ったのは、ペナルティエリアとゴールエリアをマーカーを置いて表現していたこと。ゴールキックやエリア内の攻防によって、当然のようにマーカーの位置は動いていた。横浜国際のピッチに8人制用のラインを描くのは難しいのかもしれないが、全国大会の決勝であってエキシビジョンマッチではないのだから何とかならないものか。小机のフィールドにはキチンと線が引かれていただけに残念だった。

第一ピリオド。フロンターレの積極的なプレッシングを受けて自陣に押し込まれる時間帯が続く。セカンドボールを拾って前線への展開を試みるものの、相手選手の素早い寄せに正確なコントロールをさせてもらえない。サイドの崩しから失点を喫して苦しい場面が続いたが、カウンターから岡田が抜け出して貴重な同点ゴールを奪い、試合を振り出しに戻す。その後は押し込まれながらも耐えてサイドからのアタックを狙い続けたが、追加点を許し1-2で第一ピリオドを終了。

メンバー総入れ替えとなった第二ピリオドでも、フロンターレのプレスは変わらない。全員守備、全員攻撃でチャンスを狙い続けたが、フロンターレのスーパーなミドルシュートが飛び出し2点差とされてしまう。更に追加点を許し3点のビハインドとなり、ピリオドの終盤には押し込む場面を作ったが得点を奪うことはできずにトータル1-4で第二ピリオドを終了。ジュニア世代のGKでは絶対に届かないコースに飛んでしまった、あのミドルシュートによる失点が大きかった。

そして今大会ラストの12分間となる第三ピリオド。最後までゴールを目指してFWを投入し続けたが、ゴールまではあと一歩及ばず。チーム全員で最後までファイトしたセレッソ大阪U-12だったが、最終的に1-5という結果で決勝戦を終了。準優勝で今大会の幕を閉じた。


昨年もJヴィレッジの全日でU-12を観たが、その時と同じようにチーム全員で最後まで戦う、気持ちの良いチームだった。決勝で敗れたことの悔しさが、また彼らがひとまわり大きく成長するきっかけとなってほしいと思う。そして、全国準優勝という結果が、これから始まる全日の大阪予選に向けた自信となり、更なる好結果に繋げていけるように頑張ってほしい。

決勝で対戦した川崎フロンターレU-12は本当に強かった。グループでの対戦では充分戦えるという手ごたえがあったが、決勝では、更にその上を行くパフォーマンスを見せつけられてしまった。このような試合が、全国大会でしか得られない貴重な経験となり、このレベルの相手に勝つという強いモチベーションを生みだしていくのだろう。

夏のJヴィレッジで、より一層成長した姿が観られることを願っています。

頑張れ!セレッソ大阪U-12!!