インカレ決勝@国立


今年は関東のみでの開催、しかも昨年までの一次リーグを廃止し一発勝負のトーナメントとなったインカレ。関西勢は一回戦で3チームとも姿を消し、写真の彼の所属する福岡大も流経大との激闘の末に準々決勝で姿を消した。どうしようかなと思いつつも、せっかく関東在住ということで大学サッカー頂点の舞台を観に、国立へ。

関東第三代表の筑波大と第四代表の中央大の対戦となった決勝戦。立ち上がり、筑波大が小気味よい連携で左サイドからチャンスを量産し中央大を押し込む。風間氏が指揮を執るチームは、ショートパスとスペースへの飛び出しを意識した、人もボールも動くサッカー。サイドバックが2列目を追い越し、ボランチがサイドにボールを預けたら迷わず前線のスペースへと飛び出していく。「風間さんってこんなサッカーがしたいんや」という意図は観ている側に非常に伝わり、個人的にも好きなタイプのサッカー。一方、最終ラインやボランチ間のパス交換や縦への楔を掻っ攫われて一気にカウンターに持ち込まれるという危うさも。こういう魅力と危うさを兼ね備えたチームは、好きだなw

一方の中央大は、強い特徴はないものの攻守のバランスが高く、オーガナイズされた好チーム。立ち上がりこそ筑波大の積極的な仕掛けに手を焼いていたが、次第にカウンターからリズムを引き寄せていく。2列目の両サイドが速く技術も兼ね備えており、高速カウンターは魅力充分。中盤以降は筑波大の自滅っぽいパスミスが中央大の良さを更に引き出してしまっていた部分もあるが、筑波大2トップへの楔をことごとくケアし、相手にリズムを与えず自チームに流れをもたらした点が大きかったように思う。

先制点は筑波大。前半29分、筑波大のFKをペナルティアーク付近でヘッドでクリアしたボールが、そのまま中央大ゴールに吸い込まれてしまう。しかしその6分後、今度は中央大が左CKをニアで逸らし、ファーでボレー気味に押し込んで同点とすると、前半終了間際には筑波大ディフェンスラインの一瞬の隙を突いた技ありミドルで逆転に成功。

後半、筑波大は清水内定の木島のドリブル突破からPKを獲得するも、バーに当てて失敗。その後は、あくまでショートパスで繋ごうとする筑波大と、パスカットからカウンターに持ち込む中央大という図式が続く。筑波大はリスクをかけて前線にどんどん人が飛び出すので、ひとつのパスミスが数的不利なカウンターに持ち込まれるという危うい展開。しかし、中央大も数多くのチャンスを決めきれることができないまま、試合は終盤へ。準決勝の流経大戦では、パワープレーから劇的な同点ゴールを奪い取った筑波大だが、この日は中央大が前線からのプレスを弱めず、決定機を作らせないまま試合をクローズ。筑波大はあと一歩届かず、中央大の優勝で幕を閉じた。

中央大の勝因は90分継続したアグレッシブなディフェンス。最終ラインから繋ぐことに徹した筑波大に対し、高い位置からプレッシングを継続し、ビルドアップで筑波大の多くのミスを誘発した。また、トップへの楔をケアし続けることにより、関東大学リーグで得点を量産した2人のFWにほとんど仕事をさせなかったことも大きい。オーソドックスだが、完成度の高い中央大のサッカーは勝者にふさわしいものだったと思う。

一方、負けはしたものの筑波大からの方が強い印象を受けた。9番、11番の前線の2人に加えて、左サイドの突破が印象的だった8番、センターからゲームを作り続けたボランチの7番など、個人として印象に残る選手が多かったのは筑波大だった。

率直な感想として、阪南大ぐらいのレベルであれば優勝してもおかしくないというレベルの試合ではあった。しかし、逆に言えば、関西は阪南大のレベルで抜けてしまわれても困るという印象を持ったのも事実。決勝に進んだ筑波大も中央大もインカレ出場枠をギリギリまで争ったチームで、関東は3〜7位までは大混戦だったようだ。昨年、関西の中位以下だったチームもこのぐらいの内容を目指してほしい。ロングボール主体では関東のチームには通用しなくなっているし、スカウトの目も質の高いチームの多い関東にばかり向いてしまう...。全くの部外者ながら、そんな懸念を抱いてしまったインカレ決勝でした。