高円宮杯の雑感的なもの

10/11(土)、結局国立へ。ジロー的な人とやさぐれながら高円宮杯ベスト4を観戦。小雨がぱらついていたのでメイン屋根下に陣取ったのだが、周りはほぼウィアーな人達で埋め尽くされていた...

レッズユースが先制するものの、「高体連お家芸」作陽のセットプレーで前半は1−1のドロー。ここからは我々が苦しんだのと同様にじわじわと作陽ペースへ。後半は作陽の攻撃にあわやの場面が多く、もし9番のFW辻本がいたら結果は違っていたかもしれないと思わされた。昨年の広島皆実といい、個で上回るJユースに対してここまで組することができるのは、もう流石としか言いようがない。

延長戦。PK戦を嫌うレッズユースの猛攻。個人的には、後半の内容から作陽の方が試合を決め切れなかった分だけPKは嫌なのではという気がしたのだが...そして延長後半、またしても原口元気のスーパーゴール。豪快なミドルが作陽ゴールを揺らし待望の勝ち越し点を手にする。ウチとの試合もそうだったが、試合を決定付ける彼の働きは大会MVPに値する、と個人的には思う。

結局試合は2−1でレッズユースが勝利し、決勝のホーム埼玉スタジアムへ。ホームで決勝を戦えるというシチュエーションが自分には羨ましすぎる...冬こそ......


2戦目、東京U-18対名古屋U-18。クラ選8−4のリベンジに燃える名古屋。ただ、あの試合の東京U-18のサッカーはユースの枠を超え、ウチのトップでは絶対に勝てないとさえ思わされた。個人的に非常に興味深かった一戦。

東京はFW重松、MF三田の主力2選手が出場停止も、小気味良い展開から積極的に1対1を仕掛けてくる。レッズユースもそうだったが、1対1の局面で躊躇いがない。近年、フル代表を中心に攻撃時の積極性について云々言われているが、この世代のトップクラスでは少なくともそんな心配は無用なのでは。逆説的だが、ユースの質の高さを成果重視のトップできちんと継承できるかが日本サッカーの課題とさえ思ってしまう。

むしろ、この試合の課題は局面に持っていくまでのプロセス。中盤での潰し合いが多く決定機そのものは数少なかったため、観ていて若干「しんどい」前半。

後半、名古屋の組織的な守備と2トップのスピードが噛み合い、効果的なショートカウンターで東京ゴールを脅かし始める。そして名古屋が若干押し込む流れの中、CKからアルベスがヘッドで合わせて名古屋が先制。これで火の点いた東京サポーター同様、選手達も果敢に名古屋ゴールに攻め入るが、後半ロスタイムにカウンターから失点し2−0とされ、ジ・エンド。見事リベンジを果たした名古屋U-18が決勝へと駒を進めた。

レッズ、東京という地元チームが準決勝に残ったこともあるのだろうが、ここ3年間で準決勝の観客は確実に増え続けている。高円宮杯の認知度が着実に高まっていることの表れなのかなと。そして、この舞台に充分手の届くところまで来ているという実感があるだけに、観戦し終わった後の悔しさも自分の中で年々大きくなっている...


決勝は実家でBS観戦。最後の方はちゃんと観るのも辛い試合になってしまった。埼玉スタジアムという環境が、レッズサポーターの存在がレッズの選手達に普段以上の力を出させ、名古屋の選手達を萎縮させてしまったのかもしれない。山田のミドルから完全にレッズの流れではあったのだが、3−0から1点返した後の直接FK、これをきっちり決められたのが名古屋としては大きかったのかなと。

そしてこの日のレッズからは、夏の東京U-18と同等のインパクトを受けた。夏は個の能力がなかなか発揮できずにいたが、今大会では前線からの積極的なディフェンスが上手く機能したことよって、ひとつ上のレベルに達したのではないかと思う。全国トップのレベルは年々急速に上昇しており、レッズ、東京、柏の3チームは、ユースカテゴリの中では、サッカーの質において「抜けた」存在といえそうだ。

といっても、これらのチームがJユースでも確実に結果を残せるとは限らない。潜在的な力では他のJユースも引けを取らないだけのものを持っている。そして肌で感じた経験や悔しさを、急速に自らの力に転化できるのもこの年代の大きな強みといえよう。来週から始まるJユースカップ。クラブ間の力の差は高いレベルで「平たく」なっているのではないだろうか。


決して楽ではないひとつひとつの試合を自らの糧に、成長しながら進んでいこう。