三菱養和 vs 横浜Fマリノスユース @三菱養和グラウンド

巣鴨駅から徒歩2分、三菱養和スポーツグラウンドで行われた三菱養和 vs 横浜Fマリノスユースの一戦。マリノスは既に高円宮杯出場権を得ているものの、この試合にプリンス優勝がかかっている。対する養和にとっても、この試合はプリンス1部残留を賭けた大一番。

養和サイドはホームグラウンドということもあり、各カテゴリーの選手達や親御さんで溢れかえっている。マリノスも選手の親御さんやナイトゲーム前に観戦(と言うか応援)しに来たサポが多く、巣鴨という街の雰囲気とはかけ離れたちょっと異様な雰囲気。プリンス関東では過去の経緯から応援が規制されているという話を聞いたような気がするのだが、鳴り物を使わない点以外は昨年のJ村同様のガチ応援。

この時点で1部リーグ首位に立つマリノス。4甲斐、9端戸、10斉藤の3選手は昨年のU-17ワールドカップ代表。ここまで、圧倒的な個のチカラでプリンス関東を席巻していると噂のマリノスユースのサッカーとは...


配置は典型的なボランチ2枚の4−4−2。

FW:10齋藤学、11端戸仁
MF(2列目):11松尾康佑(→15榎本大希)、18小野悠斗(→24塩田光)
MF(ボランチ):7荒井翔太、6佐藤優平
DF:22岡直樹、4甲斐公博、5臼井翔吾、2曽我敬紀
GK:21橋本勇樹


前半、養和の組織がマリノスの個を封殺。ポゼッションはマリノスも、前節の浦和戦と同様に前線からの献身的なチェイシングでマリノスにカタチを作らせない。最終ラインから2トップへのフィードもなかなか収まらず、決定機といえる場面は数えるほど。9端戸はフィジカルの強さからポストアップも出来るが、トップの2人の良さが出るのはやはり前を向いてボールを持つシーン。サイドの裏のスペースを突くカタチから何度かチャンスを作り、1対1の場面では積極的に仕掛けてくる。特に10斉藤の一瞬のスピードには要注意。しかしボールを持ちすぎのきらいもあり、養和DF陣は体を張った対応でピンチを凌ぎきる。

また、チームとして押さえ込まれていたこともあり、組織的な崩しも余り見られない。中盤の2列目も単独での縦へのアクションが多く、SBやボランチの攻撃参加もさほど多くは見られない。バイタルエリアで2〜3人が絡むと面白い展開も見られるが、それも個々人のイマジネーション任せな部分が多いような。全体として膠着した45分間も、養和の狙い通りに進められたといえる展開。

しかし後半になると、ギアチェンジしたマリノスが一気呵成に攻め込み始める。54分、11番が左サイドを突破すると、PA手前から放ったシュートが逆サイドネットを揺らし、マリノスが先制。この後はペースを掴んだマリノスが前半とは打って変わって決定的なチャンスを作りだす。前半には無かった両SBやボランチの攻撃参加も加わり、完全なマリのスペースへ。養和は次第に苦しくなるものの、しぶとく耐え抜き裏のスペースを突いたカウンターでチャンスを伺う。そして養和の我慢が結実したのは75分。カウンターからPA右手前でFKのチャンスを得ると、ニアにアーリー気味に放った速いクロスを混戦状態の中で上手く合わせて同点に追いつく。このシーンはニアへの低いボールだったが、先週のヴェルディと較べるとマリノスの選手達のサイズは一回り小さく、セットプレーは貴重なチャンスとなるのでは(そういえば、昨年の得点も、CKから龍の折り返しを市川が押し込んだ形だったよな...)。

終盤は、息を吹き返した養和が盛り返し、双方のラインが間延びしてきたこともあり、カウンターの応酬に。マリノスは10斉藤、11端戸や交代で入った選手達がチャンスを演出。養和は次々と投入されたフレッシュな選手達が献身的なプレーでチャンスを作り続ける。交代で入った選手が全く変わらないクオリティのプレーをする養和のサッカーには、選手交代に「外れ」がない。夏場の短期決戦では大きなアドバンテージとなり、同グループの神戸にとって楽な試合にはならなだろうな...

結局、双方ともゴールを割ることなく1−1のドローで試合終了。桐蔭の敗戦を受け、1部リーグ残留を決めた養和の喜びようは凄かった。一方のマリノスは、このドローによりFC東京に順位をひっくり返され、最後の最後で2位転落。目の前にあったプリンス関東のタイトルを逃した格好に。

マリノスというと一昔前のハーフナーとか、やたら大きいチームのイメージがあったが、今年のチームは平均もしくは微妙に小さめ。個のチカラをベースに、細かい戦術に囚われず仕掛けてくるチームカラーはガンバユースに近いのかもしれない。養和のようなチームに苦戦すると思えば、高校チーム相手に大量得点で勝利したりするあたりも、今年のガンバに似ているような。

ヴェルディマリノスもU-18世代ではトップクラスのチームであることに違いはなく、決して容易な相手ではない。しかし、チームカラーという意味では、決して戦り難い相手というわけでもない。一瞬の油断や隙が勝敗を決める極限状態での試合になるだろうが、全員で戦えば絶対に次のステージが見えてくる。奢らず、臆さず、自分達のセレッソのサッカーを信じてしっかりとした準備ができれば大丈夫!


7月26日の開幕戦、良い準備をして、自信を持って迎えよう。