ナイキプレミアと関西学生サッカー(桃山大vs大体大)

全国リーグの翌日も堺のナショトレで観戦。堺東からバスに乗ったのだが、昨年とは違いナショトレまでの直行便が増えていたりと利便性は向上している様子。ただ、小学校から大学まであらゆるカテゴリの試合が組まれているためか、堺駅西口からは大混雑のバス車内...。また、中学1年からしばらくは堺駅のすぐ近くに住んでいたこともあって、バスの中から観る外の景色の変化には何となく感慨深いものが感じられたり。自分が山口の田舎から出てきた頃はリーガロイヤルすらなかったし、駅舎はプレハブだけの小さい駅だった。駅ビルも存在せず、現在はラウンド1などのアミューズメント施設もあるみたいだが当時は皆無。高校の頃は土日の部活帰りによく中百舌鳥の和光レーンでボーリングしていたが、和光レーンは逆にもう無くなっているらしいし。

ナイキプレミアの決勝は2連覇を狙う京都U-15と関東代表の横浜FMジュニアユース。9時半と早い時間にキックオフだったため、数分ほど遅れてスタンドへ。両チームとも前線からプレスをかけていくためか、双方ともリスクを避けた縦へのフィードが多く観られた。これまでは関東のJユースや京都にしても平面で繋ぐ印象が強かったので、個人的にはちょっと予想外な展開。京都は11番の1トップに14番や12番がサポートに入りながら、速い展開で裏のスペースを狙っていく。対するマリノスも似た展開となっていたが、2トップに2列目の2人を含めた4人が京都の最終ラインに張り付くような形が多く観られた*1。京都の方が、11番のポストアップと裏を窺う動きでやや主導権を握っているように感じられたが、トータルとしては膠着した時間帯が続いた。

そして思わぬ形で京都にチャンスが訪れる。セットプレーからの右クロスのこぼれ球に京都の11番が一瞬早く反応。ゴールネットを揺らして先制点の奪取に成功する。その後、優位に立った京都は前線4枚のカウンターから何度か好機を演出。追加点には至らないものの京都ペースで試合は進んでいく。対するマリノスも、後半から体格は小さいもののドリブルスキルの高い選手を投入するなど、選手交代を交えながら打開を図るものの、決定的な場面を作るまでには至らず、そのまま京都が逃げ切って試合終了。二連覇を達成するとともに、日本代表としてマンチェスターへの切符を手にすることとなった。

シーズン序盤のこの時期が全国大会、しかも世界大会を賭けた試合ということで、堅い試合内容ではあったかと思う。ただ、これからより魅力的なサッカーを構築し、世界大会でも素晴らしい日本の、京都のサッカーを展開してほしいと思います。しかしナイキプレミアにこうも頻繁に関西代表として出場、しかも二連覇してしまうとは京都恐るべし...


そして12時からはメインイベントの桃山大vs大体大の一戦。本部長曰く状態の良い2チーム同士の一戦は、その言葉に違わずスピーディかつテクニカルな、非常に面白い試合内容となった。

桃山大はセレッソのOBが多く、CFに中東優治、右SHに道上隼人、更にボランチに面家康生がスタメンとして名を連ねる。対する大体大はベンチに昨年U-18卒業の藤山宗徳が控える。スタンドの多くのメンバー外選手を観ると、新1年にしてメンバー入りは正直素晴らしいと思う。豪や佳介も宗徳に負けず、メンバー入り、そしてトップでの出場を目指して頑張ってほしい。

両チームともボックス型の4-4-2を採用し、状況判断の速さをベースとしたパスサッカーを展開。また、SHに縦に速い選手を配するなど、チームのスタイルにも共通点の多い印象。桃山大の2トップは、優治のポストアップと斎藤の飛び出しという役割が明確になっており、互いに良さを引き出しあえているように見えた。特に優治は身体を張るだけでなく足元の技術も安定しており、ポスト役として前線でしっかりと起点を確立。前半には左足でループ気味にゴールを狙い、後半にはゴールに背を向けた状態から右足アウトでスルーパスを出すなど、U-18時代と比較して確実に引き出しが多くなっていた。あとは3年時のオカムのように得点という結果をしっかりと残すことができれば、もうひとつ上へのステップがはっきりと見えてくると思う。

隼人は縦への突破に更に磨きが掛かっており、1対1であれば相手選手をものともせず右サイドからチャンスを量産。唯一の得点シーンではトップスピードの状態からマイナスに正確なクロスを折り返すなど、自らのスピードに対するプレー精度は確実に上がっている。後半、2人のDFの間を突破しペナエリアへと侵入するプレーには鳥肌が立った。

そして康生。安定感という意味では最もプロっぽい選手かもしれない。対人の強さはユースの頃と変わらず、ビルドアップや展開の部分でもしっかりと貢献できるようになっている。ゲーム感や展開を読む能力も変わらず高く、プロフェッショナルなファールは観ていて憎らしいほど。また、科技高時代にはFWとしてセレッソU-18をも苦しめた須ノ又と組んだボランチも興味深い*2。須ノ又は縦へのスピードが印象深い選手だったが、足元のスキルも高く、前線に顔を出すと得意のドリブルでスルスルっと抜け出していく。

試合は、前述の隼人の突破からの低く速いクロスに、エース斎藤がファーでダイビングヘッドを豪快に合わせて桃山大が先制。その後も桃山大が優勢に試合を進めるものの、追加点を奪うには至らず。後半になると大体大は選手交代で状況の打開を試みるも、いまひとつ交代による成果が噛み合わないまま終盤を迎える。そして残り数分という状況で大体大の切った最後のカードは宗徳。しかし時間も少なく決定的な仕事をするには至らずに試合終了。好調同士の一戦を桃山大が制し、上位定着に向けて一歩前進した。

続く第二試合の関学大阪南大の一戦も観戦予定だったが、残念ながら純がスタメンから外れたため観戦することなく帰宅。ただ、この日も河田が非常に良かったみたいだったので、ちょっと観てみたかったような...

というわけで、色々な方々とも久しぶりにお会いしお話をすることができ、そして何より楽しい試合を堪能することのできた充実した2日間の大阪滞在でした。

*1:そういえば、昨年観たプリンス市船戦でも、熊谷アンドリューが前線に張り付いて、似たような形で膠着していたような気もする...

*2:この時の2失点は、いずれも彼にやられたのでした...