壮絶な戦い

ダービーに賭ける想い。別にトップに限ったことじゃない。
U-15世代でも「あそこだけには」という気持ちは変わらない。ひょっとしたらトップよりも強いかもしれない。
公式記録にもあるように、終盤、最後まで諦めない気持ち、魂で掴み取った勝利だった。
風雪の悪コンディションの中での試合。前半、セレッソは風下に位置していたが、相手を上回るパスワークとセカンドボールへの鋭い反応でゲームを支配。決定的な場面を何度も演出するも最後のところで決めきれず、もどかしい展開が続く。
前半終了間際、ガンバにワンチャンスをものにされてしまう。センターサークル右付近のセットプレーから放り込まれたボールが、混戦をすり抜けワンバウンドしてゴールに吸い込まれる。支配している展開での失点。直前までほとんどセレッソの時間だっただけに、嫌な雰囲気で前半を終える。
後半、立ち上がりから先制して勢いに乗るガンバの攻勢が続く。今年一年、何試合かU-15の試合を観てつくづく思うのだが、この年代のサッカーはメンタルが試合に与える影響が非常に大きい。一点取れば勢い付いてより素晴らしいプレーをするし、逆に一度押し込まれると流れを引き戻すのが上の年代に較べて難しくなる。これはウチのチームに限らず、この年代のほぼ全てのチームに言えることではないかと思う。
また、後半風上にたったが、ロングフィードがタッチまで流され攻撃のリズムが作れなかったり、DFやGKが手前で止まるボールの対応に苦労するなど、逆にやりにくい要素の方が多かったように見えた。また、グランパス戦同様、能登と西岡田の両SBの攻撃参加も封じられるなど、互いに手の内を知り尽くしている部分でのやりにくさも感じられた。
試合は前半とは一転して攻撃の流れを作れない展開となり、非常に苦しい時間帯が続く。しかし、何度か危険な場面を作られるも、GK石川が1対1を阻止するなどの活躍を見せる。この日の石川は本当に素晴らかった。この試合、僕の中のMOM。
ベンチは膠着状態を打開すべく、永井(龍)、福本を投入。そして彼らが少しずつ流れを引き寄せていく。永井は独特の得点感覚でフィニッシュに絡み、福本も前線からの果敢なチェイシングでチームに貢献。そして後半終了間際、永井のパスを相手DFに寄せられながらも福本が捻じ込む。喜びを爆発させる選手達。土壇場での貴重な同点ゴールで試合は延長戦に突入する。
延長はややセレッソの流れで試合が進むも、消耗の激しい時間帯ということもあり、互いに危険な場面が続く。そして延長後半終了間際、自陣PA内で相手選手とコンタクト。正当なチャージに見えたが判定はPK。このときばかりは、内心「それはないやろ」という気持ちでいっぱいになってしまった。これをきっちり決められ、土壇場で1-2となってしまう。万事休す。
しかし、選手達は諦めない。キャプテン中東をはじめ何人かの選手が「まだ諦めるな!」と叫ぶ。喜ぶガンバの選手達をよそに、すぐボールをセンターサークルにセット。そして再開直後、丸橋がワンタッチ・ツータッチとボールを運び、30メートルはあろうかという距離も躊躇無く左足を振り抜く。相手GKも反応できない素晴らしいゴール。再び喜びを爆発させる選手達。「絶対に負けられない」という意地を見た気がする。
試合はPK戦に突入。両チームとも一人ずつ外し、6人目のサドンデスに突入。そして相手6人目を守護神石川がストップ。後半終了間際と後半延長間際、ギリギリの局面を2度ひっくり返し、最後の最後で勝利を手繰り寄せた。
「負けられない」という強い気持ちが生んだ勝利に、本当に感動させられた。彼らの最高の笑顔を見ることができたし、この試合を経験して、また一つ逞しくなったのではないかと思う。
また、選手の親御さんには、試合前後やHTなどにお声をかけていただき、本当にありがとうございます。熱心な親御さんあってのセレッソだと思っており、本当に感謝しています。
彼らの成長する姿を見ることができるのは、僕にとって、本当に嬉しいことです。